ISO9001の認証取得で必要な要求事項【最新版】
公開日:2019.09.24 最終更新日:2021.08.10
そこで本記事では、ISO9001の要求事項について、2015年の改定内容を踏まえて解説していきます。
ISO9001の認証取得でお悩みのご担当者様は、ぜひご一読ください。
ISO9001における要求事項とは
ISOにおける“要求事項”とは、ISO認証を取得する事業者が行わなくてはならない基本要件を指します。
また、ISO規格は時代に即したルールにするため、数年に一度規格改定が実施されます。
改定された最新の規格に従うことで、企業も時代に即したアップデートができるという仕組みです。
では、ISO9001における要求事項では、どのようなことが求められているのでしょうか?
そもそもISO9001は、商品やサービスの品質を保証するものです。
ISO9001における要求事項とは、その時代に最適な形で、品質マネジメントシステムを構築・運用するために守らなければならないルールのことです。
品質マネジメントシステムの構築は難しく、また要求事項についても専門知識が必要になるため、基本的にコンサル会社にサポートを依頼したほうがいいでしょう。
コンサル会社への依頼も含め、ISO9001取得にかかる費用については、こちらのISO認証の取得で必要となる費用の詳細もあわせてご確認ください。
ISO9001における「品質マネジメントの7原則」とは?
ISO9001の要求事項の根本には、品質マネジメントの7原則というものがあります。
ISO9001の認証取得には品質マネジメントシステムの構築が必要です。
そのマネジメントシステムの構築に欠かせない7つの要素のことをさし、下記の7項目が定められています。
- 顧客重視
- リーダーシップ
- 人々の積極的参加
- プロセスアプローチ
- 改善
- 客観的事実に基づく意思決定
- 関係性管理
しかし、各項目名を見ただけでは、一体どんなことを求められているのかはわからないですよね。
ここからは、意味を一つずつ解説していきます。
①顧客重視
直接的なユーザーだけでなく、企業の製品やサービスに関わるすべての人のニーズを理解して、要求を満たすことです。
また、常にニーズを先読みし、顧客の期待よりさらに上のものを提供する努力が求められています。
②リーダーシップ
組織のリーダー(社長や役員など)が品質管理に関する全体の目標を明文化し、組織全体で目標を達成できるよう導くことです。
③人々の積極的参加
②リーダーシップ にてリーダーが掲げた目標を、メンバー全員で達成するため努めることです。
マネジメントシステムの基本は、全員が当事者意識をもって参加することです。
④プロセスアプローチ
一つひとつの作業を分解し、仕事全体の流れ(プロセス)を見直すことです。
特にISO9001においては、無駄な作業がないか、品質を高めるためにはどこを改善すべきかというポイントで見ていきます。
⑤改善
①顧客重視 にて解説したように、ISO9001の運用においては現状維持ではなくアップデートが求められています。
現状に目立った問題がなくとも、品質をより高めるにはどうすればよいのかを常に考え、実行する必要があります。
⑥客観的事実に基づく意思決定
評価や判断を下す際は、個人的な考えや感覚的なものではなく、数値などのデータや客観的な事実に基づくことが必要です。
また、意思決定のために都度データは記録に残しておくとよいでしょう。
⑦関係性管理
自分の組織、および取引先などの各関係者との関係性は対等である必要があります。
「お金を払っているほうが偉い」のではなく、お互いにメリットをもたらしあっている相手であることを理解し、良好な関係のもと顧客の要求に応えることが望ましいです。
2015年の規格改定でISO9001の要求事項は何が変わった?
2020年3月現在、ISO9001の要求事項において最新の改定が行われた時期は、2015年度です。
具体的にはどのような変化があったのでしょうか?
ここからは、2015年に改定されたISO9001の要求事項について、大きく4つのポイントに分けて解説していきます。
ポイント①リスクマネジメントの要求が新たに追加
今回の改定により、今までISO9001の要求事項にはなかった「リスク及び機会への取り組み」が要求事項6.1にて追加されました。
これはどういうことなのかというと、まず「リスク」は言い換えると「不安要素」、「機会」は「チャンス」といえます。
つまり、企業活動のうえで発生しうる不安要素や得られるチャンスを想定し、どのように取り組むかということを制定することが求められています。
また、「リスク及び機会への取り組み」が追加されたと同時に、近い意味をもつ「予防処置」という言葉が消えました。
これは、問題(リスク)をそもそも未然に防止することがマネジメントシステムの目的であるためです。
また、リスクだけでなく、与えられたプラスの機会をどのように活かすか?といった対応策も考える必要が出てきました。
ポイント②プロセスアプローチに関する要求内容の変化
ISO9001の要求事項において、業務におけるプロセス(手順)の確立と明文化自体は改定以前より求められていました。
しかし、2015年版の要求事項4.4「品質マネジメントシステム及びそのプロセス」においては、より具体的な内容が求められるようになったのです。
以前の規格で求められていたのは「プロセスの確立」のみです。
加えて、2015年版では、確立したプロセスに必要なインプット、およびアウトプットを明確にすることまで求められています。
わかりやすく言い換えると、その作業はどんなもの(部品や情報など)を材料に行い、結果としてどんなものができるのかということを明文化しましょう、ということです。
さらに、そのプロセスを運用した結果は文書情報として都度保管し、定期的に現場のプロセスの確認および評価も必要です。
プロセスの明確化と改善は、商品やサービスの質を左右する根本的な要素ともいえるため、この改定をきちんと理解しておくことは非常に重要です。
ポイント③品質マネジメントシステムと事業の統合が必要に
新規格の要求事項5.1「リーダーシップ及びコミットメント」において、品質マネジメントシステムを組織の事業プロセスへ統合することが求められるようになりました。
まず「組織の事業プロセス」とは、言い換えると、その企業において従業員が取り組んでいる業務の流れのことです。
つまり今回の改定で求められていることとは、ISO9001の要求事項を業務の流れに組み込ことで、事業と結びついた品質マネジメントシステムの運用を行うことです。
事業とマネジメントシステムの統合が求められるようになった背景は、従来の要求事項では事業と乖離したマネジメントシステムの構築がしばしば問題視されていたためです。
事業とマネジメントシステムが乖離してしまうと、システムが形骸化し意味をなさなくなってしまいます。
そういった問題を防ぐために、事業との統合が新たに追加されました。
ポイント④文書化のルールが一部柔軟に
従来の要求事項では、品質マニュアルやプロセスを明文化したものなど、書類の作成・保管が求められていました。
しかし、今回の改定により、一部文書は書類として残しておくことが必須ではなくなりました。
とはいえ、作らなくとも全く問題ないというわけではありません。
当然、文書化したマニュアルがあったほうが運用しやすいといった組織もあるでしょうし、組織により状況が異なるためです。
今回の改定はあくまでマニュアルや手順書の作成義務がなくなったという内容であり、自分たちに必要だと判断した書類は作成する必要があるということです。
また、一部文書化が求められているものは「文書化された情報」という表記に変わったため、適切なセキュリティ対策のもとでデータでの作成・保持も認められています。
ISO9001の要求事項とは、時代に即した品質マネジメントシステムを作るためのルール
いかがでしたか?
ISO9001の要求事項や、2015年の改定における重要なポイントについてご理解いただけたでしょうか。
ISO規格は、よりその時代に適した内容になるように、数年ごとに改定されます。
ISO9001についても、何年後になるかは分かりませんが、また新たな改定が行われるでしょう。
規格の改定に伴う品質マネジメントシステムの変更は、企業にとって大きな負担かもしれません。
しかし、その都度、誠実に対応していくことが、顧客満足度の向上につながっていきます。
より良い会社へと成長させるためにも、ISO9001の要求事項の変化に対応していきましょう!
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この記事を書いた人
編集部員 河田
編集部員の河田です。編集プロダクションでの書籍編集の経験を経て、現在はEMEAO!のWebコンテンツ編集・執筆とお客様へのインタビューを担当させていただいています。日々、コツコツと皆さんのお役に立つ情報を発信していきます!よろしくお願いします。