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公開日:2023.11.20 最終更新日:2025.08.22
ISO14001とは、環境マネジメントに対する国際的認証です。ごみ収集の車両などで目にしたことがあるかもしれません。
昨今の温暖化や廃棄物問題などの環境問題を受け、企業は「持続可能な開発」のため、取り巻く環境に対する取り組みが重視されています。
そこで本記事では、ISO14001取得のメリット・デメリットを解説します。ISO9001との違いも理解した上で、ぜひISO14001を取得しましょう。
ISO14001とは、スイスにある国際標準化機構が定めた「環境マネジメントシステム(以下、EMSという)」に関する国際規格を指します。企業の環境リスク改善の取り組みを示す国際的認証です。
ISO14001は、企業の事業活動において環境に悪影響を及ぼす場合、その改善のための仕組みを構築している企業に与えられる国際的認証です。 たとえば海外企業との取引では、ISO14001認証マークがあることで環境への取り組みが評価され、信用が高まり円滑な取引を実現します。
あらゆる組織が認証取得できるISO14001ですが、2022年の総取得件数は世界で529,853件となりました。ISO規格のなかでも2番目に多く、国際的に環境への配慮が重要視されていることが分かります。
ISO14001は環境マネジメントを指す国際規格です。
「環境」とは、企業活動を取り巻くあらゆる自然環境(空気や水など)・企業に関わる人(政府自治体、従業員、顧客など)などを指します。
ISO14001では、企業活動に関わるすべての環境への影響や起こり得るリスクの改善を、環境マネジメントとして分析することが求められています。
ISO14001は企業の行動により環境に悪影響を及ぼす場合、そのリスクを改善するための仕組みが企業にあることを証明する認証規格です。
具体的にはEMSの構築です。その仕組みはPDCAサイクルが基本とされ、計画の策定、実施、点検、改善を行います。
EMSは一時的な取り組みではなく、環境への悪影響を継続的に減らす仕組みでなければなりません。
ISO14001取得する目的は、以下のとおりです。
1つずつ解説します。
ISO規格は、第三者機関としての国際的認証です。そのため、国内外の取引先や顧客から社会的信用を得やすいメリットがあります。 社会的信用があることで、取引の円滑化など企業活動を行う上でプラス材料です。CSR活動(企業の社会的責任)の一環を果たしていると言ってもいいでしょう。
ISO14001認証マークを企業パンフレット・ホームページ・CMなどの媒体に載せることで、ビジネスのきっかけとなることがあります。
下のグラフは、ISO14001の認証取得を外部へ伝達したことの効果を示しています。自社のアピールになったり、新たな取引開始のきっかけとなるなど、一定の効果が確認できます。
ISO規格取得の効果は国内だけにとどまりません。海外企業に向けて、EMSの国際基準レベルの管理・運用能力を対外的に示すことができます。海外企業との取引拡大の可能性も否めません。
ISO14001を社内体制の改善による業務効率化を目的として、取得する企業もあります。 EMS構築にあたり、さまざまな社内体制やルールの明確化が必要です。そうすると無駄な業務が減り、新たなルールの必要性も見えてくるでしょう。
さらに、従業員へ環境リスク改善を呼びかけることで意識改革も行われ、全社的な社内改善取り組みが実現します。
ISO14001は環境、ISO9001は品質に違いがあります。しかし、企業の生産性向上や経営状態の改善という最終目標は、両者とも共通事項です。以下はISO14001、ISO9001の比較表です。
| ISO14001 | ISO9001 | |
| マネジメントの種類 | 環境マネジメント | 品質マネジメント |
| 手順書 | 必要に応じて作成 | 必要 |
| 最終目標(共通) | 生産性向上や経営状態の改善 |
仕組みを土台に、継続的に企業活動を行い業務改善や経費削減につなげていきますが、結果的に環境へも配慮できていなければなりません。手順は、必要に応じて文書化します。
一方でISO9001は、製品・サービスの品質維持向上を目指し企業内のマネジメントシステムを整えます。
ISO14001と違う所は、手順書を定め最適な工数と詳細な手順を確立する点です。継続して良質な製品・サービスを顧客に提供することで顧客満足度向上や経費削減へとつなげます。
このように両者はプロセスは違えど、経営改善という目的は同じです。それぞれの違いを理解した上で取得を検討しましょう。
ISO14001取得するメリットは大きく分けて以下の3つです。
1つずつ詳しく解説します。
ISO14001取得後の継続的な企業活動により、環境リスク低減に貢献ができます。そのためにはEMS構築に際し、環境目標の達成に向けた企業内ルールが必要となります。
たとえば電気・水道の節約・ごみの削減などに限らず、廃棄物処理方法の改善・グリーン調達(環境への負荷が少ない商品を調達)を行うなどが挙げられるでしょう。
ルール化することで全社的に取り組むことができ、環境リスクを減らすことにつながります。
ISO14001取得は、企業のブランディング強化となり信頼度が高まるでしょう。 昨今、環境破壊とも取られかねない企業の生産活動は問題視され、企業の信用度が問われています。ISO14001認証マークを持つ企業は、環境への配慮を国際的に認められた企業です。環境リスク低減への積極的な姿勢を評価され、信頼ある取引先と認められるメリットがあります。
グリーン調達を行う企業など、環境への意識が高い企業との新規取引を希望する場合、ISO14001認証を持つ企業が認められやすい傾向があります。
ISO14001を取得すると、企業の管理コストの無駄や、非効率の部分に気付く場合があります。 PDCAサイクルをもとにEMSの行動計画を作る過程で、いくつかの無駄が浮き出てきます。たとえば、必要以上の工数、消費エネルギーの無駄使いなどです。
これらを踏まえ、新たなルールを設け体系的に実践することで、省エネルギー・省資源が実現でき、管理コストの減少につながります。
ISO14001取得のデメリットはコストがかかる点、従業員の負担が大きい点です。以下で詳しく解説します。
ISO規格取得には毎年審査が必要で、取得・維持に費用がかかる点がデメリットです。 以下は、JABが定めるマネジメントシステム認証機関の手数料等と審査関連費用です。初回認定申請は50万円、審査関連費用は認証機関ごとに異なります。
ISO14001のマネジメントシステム認証機関数は34(2023年11月時点)、料金は各所見積もりが必要です。
【手数料等】
【審査関連費用】
また、環境保護という社会的意義が強いため、売上に直結しにくい部分もデメリットといえるでしょう。継続的な企業環境活動があってこそ、さまざまなメリットを享受することができます。
EMS構築・実施には従業員の協力が不可欠であり、負担が大きくなりやすい点がデメリットです。 計画策定や実施という言葉で言い表すのは容易ですが、研修の実施・文書の管理など、従業員にとっては業務負担が大きくなります。
また、業務が定着するまでの間、従業員への説明やフォローアップ体制など、細やかな配慮も必要となるでしょう。
これまでのISO取得のメリット・デメリットを踏まえ、実際に認証を取得した企業は20,892件(2022年)で、前年21,976件(2021年)と比べるとほぼ横ばいです。
2年前は17,804件(2020年)であったことから、環境への関心が引き続き高いことがわかります。
産業分野別では、製造業・建設業・小売業に多く、法令順守や環境に配慮した製品であることのアピールのためなど、自主的な理由による取得によるものが大半です。
反面、顧客から取得を要求されるなど、外部からの要求によるものは、その半分程度です(注3)。
取得したものの効果を実感できない理由として、製造業100人・建設業100人にとったアンケートの内、約50%の企業がその理由を「ISO14001が環境パフォーマンスの向上に直接つながらないため」と回答しています。
ISO14001は、要求事項として以下のことを求めています。
環境目標とは、環境リスクの低減により経営改善を行うことです。そのためには継続して企業環境活動を進め、持続可能な開発を行います。
継続して環境活動に取り組むにあたり、どの環境にどれほど影響を与えているかを把握する必要があります。
計画策定の際は、環境関連の法律を遵守し、取引先や地域住民など組織外部と充分にコミュニケーションを図りながら進めましょう。
環境改善への取り組みは、企業を次世代へ引き継いでいくために重要です。ISO14001を取得しなくても取り組みは可能ですが、一時的に行うだけでは効果が出にくく、環境リスクを減らすという本来の目的を果たすことは難しいでしょう。
やみくもに行うより、自社に合ったISOを構築し、持続可能な範囲で継続することが重要です。書類の準備やISO構築が困難な場合、ISOコンサルタントへ依頼してみてはいかがでしょうか。
環境改善へ積極的な取り組みを行い、ぜひ国際的認証のISO14001を取得しましょう。
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異業種で営業経験を積んだのち、Web業界に可能性を感じて株式会社ecloreに中途入社。
現在は、お客さま対応を担う。年間実績として、120社を超えるクライアントのSEOコンサルを担当。
より高いSEO成果をご提供するために最新のSEO情報とクライアントからの要望を元に日々サービスの品質改善に取り組んでいる。
【対応実績事例】
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