ISOの種類とは?マネジメントシステム規格の例を解説
公開日:2023.12.16 最終更新日:2023.12.16
ISOの種類は、モノ規格とマネジメントシステム規格の2つに分かれています。
本記事ではモノ規格とマネジメントシステム規格の概要や、企業活動と関わりの深い規格の例を解説します。
ISO認証を取得する際は、自社の目的や特性と合わせて規格を選定しなければなりません。ISO規格の種類が多く迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
ISO規格の種類
ISO(International Organization for Standardization)は、国際的な共通規格の制定を目的に活動している組織で、ISOが制定した規格をISO規格と呼んでいます。
その種類は、大きく分けて以下の2つです。
- モノ規格
- マネジメントシステム規格
では、それぞれの規格を詳しく解説します。
モノ規格
モノ規格は製品やサービスの品質、安全性、性能、環境性能、使用性など、製品そのものの品質を規定する規格です。
モノ規格に対象は幅広く、中でも代表的な製品といえばクレジットカードのサイズと非常口マークです。
クレジットカードのサイズは国際規格「ISO/IEC7810」の「ID-1」により、縦53.98mm、横85.60mm、厚さ0.76mmに規定されています。
また非常口のサインも、ISO 7010という国際規格により幅40cm以上、高さは120cm以上で定められています。なお非常口のサインで使われるピクトグラムは、日本発のアイディアで、いまや世界中で活用されています。
マネジメントシステム規格
マネジメントシステム規格とは、組織の経営活動を改善し向上させるための指針となる規格です。
製品やサービスの品質、環境、労働安全衛生、情報セキュリティなど、組織のあらゆる活動を対象とした規格が制定されています。組織運営で重要な要素となるマネジメントにおいて、ルールの制定や権限の明確化といった仕組みを構築するのが狙いです。
代表的なISOマネジメントシステムとしては、品質マネジメントシステム(ISO 9001)や環境マネジメントシステム(ISO 14001)があります。
では、実際に企業活動と関係の深いマネジメントシステム規格にはどのようなものがあるのか、詳しく見ていきましょう。
マネジメントシステム規格の代表例
企業活動と関わりの深いマネジメントシステム規格の代表例を、7つ解説します。
- ISO 9001:品質マネジメントシステム
- ISO 14001:環境マネジメントシステム
- ISO 45001:労働安全衛生マネジメントシステム
- ISO 27001:情報セキュリティマネジメントシステム
- ISO 22000:食品安全マネジメントシステム
- ISO 50001:エネルギーマネジメントシステム
- ISO 22301:事業継続マネジメントシステム
1つずつ詳しく見ていきましょう。
ISO 9001:品質マネジメントシステム
品質マネジメントシステム(ISO 9001)は、顧客に提供する製品やサービスの品質向上と継続を目的とした規格です。
ISO9001を取得することで、企業の製品・サービスの品質管理を強化し、顧客満足度の向上につながります。
また認証に必要な要求事項では、組織の状況(体制の構築)やリーダーシップなど、自社内のマネジメントシステムの確立に必要な要素が求められます。
ISO 14001:環境マネジメントシステム
環境マネジメントシステム(ISO 14001)は、環境への負荷を低減し、環境に配慮した事業活動の推進を目的とする規格です。
要求事項では企業が環境管理を強化し、環境保全に貢献するためのシステムを構築しているかどうかが求められます。
なお公共工事の競争入札の受注要件になっていることも多く、取得することで案件を受注しやすくなる可能性があります。
ISO 45001:労働安全衛生マネジメントシステム
労働安全衛生マネジメントシステム(ISO 45001)は、労働災害の防止や労働者の健康管理を目的とした規格です。
要求事項ではおもに労務中の負傷や疾病といった労働災害に対し、危険源となるものを排除するための仕組みの構築が求められます。取得すれば労働安全に対する合理的な管理体制を証明でき、労働者の満足度向上や顧客の信頼獲得につながります。
ISO 27001:情報セキュリティマネジメントシステム
情報セキュリティマネジメントシステムは、顧客情報や企業情報といった企業が取り扱う情報の保全や管理を目的とした規格です。
要求事項では「機密性・完全性・可用性」の3つが重要課題として挙げられており、これら3つに対しての管理体制を求められます。
取得すれば情報セキュリティリスクが低減する他、ステークホルダーに対しての信頼感や安心感の醸成にもつながります。
ISO 22000:食品安全マネジメントシステム
食品安全マネジメントシステム(ISO 22000)は、食品の安全確保を目的とした規格です。HACCP(食品安全における衛生管理の手法)とISO9001の2規格から成り立っています。
要求事項では食品製造や加工、流通や販売といった食品製造における一連の流れの中で、食品安全にかかわるリスクを抑え、安全な食品の供給体制の実現が求められます。食品事業者がISO22000認証を取得すれば、食品製造におけるリスク低減や信頼性の向上につながるでしょう。
ISO 50001:エネルギーマネジメントシステム
エネルギーマネジメントシステム(ISO50001)は、エネルギーの使用効率の向上と消費量の削減を目的とした規格です。
要求事項では組織が省エネや節電を実施するのに必要な方針・目的・目標を設定し、計画の立案から実行までを体系的に実施できる仕組みの構築が求められます。広範囲の業種で活用できることに加え、取得すればコストダウンの実現や企業イメージの向上にもつながります。
ISO 22301:事業継続マネジメントシステム
事業継続マネジメントシステム(ISO22301)は、企業を継続させるための事業継続計画(BCP)に関する規格です。
ISO22301では自然災害やシステムダウンといった予測不可能な事態に陥った際に、事業の継続あるいは早期復帰が可能なマネジメントシステムの構築が求められます。
取得することでリスクマネジメントの強化につながる他、顧客や取引先に対して自社の事業継続における信頼性を高めることが可能です。
ISO規格でよくある質問
ISO規格についてよくある質問をまとめました。
- ISOのモノ規格の代表例は?
- ISOの取得は意味がないのですか?
- ISO規格の閲覧方法は?
いずれもISO認証を取得する上で、把握しておきたい項目です。では、それぞれ詳しく回答します。
ISOのモノ規格の代表例は?
ISOモノ規格の中でも、身近な存在として知られるものは下記の通りです。
- 非常口のマーク(ISO 7010)
- クレジットカードのサイズ(ISO/IEC 7810)
- ネジ(ISO 68)
またデジタルカメラが光をとらえる能力を示すISO感度も、カメラ好きの方であれば身近なISO規格だと言えるでしょう。
ISOの取得は意味がないのですか?
ISOの取得は事前の準備の多さや費用面から、取得しても意味がないという意見もあります。ISO認証を取得するためには、要求事項を満たすためのシステムを構築し、認定機関による審査通過が必須です。
また審査費用だけではなく、審査後も定期審査や維持審査を受ける度に費用がかかります。とはいえ、意味がないかといえば決してそのようなことはありせん。
とくに海外展開を検討している企業であれば、取得することで海外企業との取引拡大につながりやすくなります。また公共事業の入札案件などにおいても、ISO認定が取引条件に含まれるケースも少なくありません。
ISO規格の閲覧方法は?
ISO規格の代表的な閲覧方法は、下記の通りです。いずれも無料で閲覧可能です。
また年間契約(有料)が必要ですが、日本規格協会のWeb販売サイトでもPDF版や冊子を購入できます。
まとめ
ISO規格には、モノ規格とマネジメントシステム規格の2種類があります。前者は製品やサービスに対する規格で、後者は組織の活動に対する規格です。
またマネジメントシステム規格の代表例としては、品質マネジメントシステム(ISO 9001)や環境マネジメントシステム(ISO 14001)などがあります。本記事の内容を参考に、ぜひ自社の特性と目的に合ったISO規格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
hata