ISO9001で必要なPDCAサイクルとは?効果を高める方法など解説
公開日:2024.01.24 最終更新日:2024.01.24
ISO001を維持するためには、PDCAに基づいた考え方でマネジメントを最適化することが求められます。しかしISO9001を取得しているものの、継続的な改善のために用いるPDCAについて、深く理解できていない事業者の方もいるのではないでしょうか。
本記事では、ISO9001とPDCAの関係性やサイクルを回すポイントやメリットを解説します。ISO9001の運用において、PDCAサイクルを落とし込みたい方は参考にしてみて下さい。
ISO9001とPDCAの関係性とは?
まずは、ISO9001とPDCAの概要と関係性について解説します。
ISO9001とは
ISO9001とは、品質マネジメントシステムに関する国際規格で、世界で最も浸透しているマネジメントシステム規格です。全世界で170ヶ国以上、100万以上の組織が利用しており、信頼性の高い規格といえるでしょう。
PDCAとは
PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(確認)・Action(改善)の略で、サイクルとしてを繰り返すことで、物事を継続的に改善する手法です。ビジネスシーンでもよく用いられており、組織が成長を続けるために有効な手段とされています。
ISOの規格要求事項
ISO9001の狙いとして、「一貫した製品・サービスの提供」「顧客満足度の向上」が要求事項として定められています。そのため、認証取得の際はPDCAサイクルが回っていることを確認されます。
また、認証を維持するためにもPDCAサイクルに基づいて改善されることが必要です。マネジメントシステムの中でPDCAサイクルを構築することで、これらの要求事項に応じ、継続的な品質改善につなげることができます。
ISO9001でPDCAサイクルを回す方法
PDCAは、以下の順番でサイクルを回して運用します。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
ここからは、ISO9001の運用において、それぞれのプロセスで取るべき行動を詳しく解説します。
Plan:計画する
自社が掲げる目標の達成に向けた計画を立てます。目標を立てる際は自社の目指すべき姿や現状の課題を明確にすることが大切です。
ISO9001の運用においては、市場や自社の環境、顧客や取引先のニーズなど、組織を取り巻く状況を洗い出します。それらを加味した上で、目標と照らし合わせて取り組む内容を決定し、各社員に表明することが必要です。社員に浸透することで、各々が役割や責任を認識できます。
さらに、計画を実行するために必要な教育や情報資源、管理方法など、支援体制を十分に整えることも必要です。自社の現状から目標達成に向けて何が必要かを十分に洗い出しましょう。予期せぬトラブルのリスクや、それに対する対処方法もこの段階で考えておかなければいけません。
Do:実行する
Planの段階で計画した内容の実行に移します。ISO9001では、運用のプロセスを適切に計画しながら管理することや、自社が提供する製品・サービスに対して求められていることを明確にする必要があります。
Check:評価する
Planで定めた計画通りに実施できているか、進捗状況や問題点などを振り返ります。日報やデータを用いた自社での評価や、トップ社員による評価、内部監査を用いた評価などの方法があります。
評価の際は、「何をもってその評価になったのか」という、明確な指標が必要です。ISO001に関しては、要求事項として「顧客が望む製品・サービスを提供し続けること」が定められているため、顧客満足度やクレームの発生件数を根拠として用いることができるでしょう。
Action:改善する
評価の結果や現状の分析結果で明確になった課題をもとに、問題点の是正や次の計画を立てます。ISOにおいては、トラブルや不適合が発生した場合「修正」「是正処置」「予防処置」という手順で、改善につなげます。
また問題点がある場合だけでなく、現状よりさらに有効な方法を考え、継続的に改善する視点を持つことが大切です。そのためには、市場環境や顧客ニーズの変化など、幅広い視点で課題を発見し、マネジメントシステムを最適化する必要があります。
Actionで改善したことを実行(Do)に移し、同じプロセスでPDCAサイクルを回していくことで、継続的な改善と目標の達成が期待できます。
PDCAサイクルを回すメリット
PDCAのメリットを理解しておけば、ISO9001の運用においてもモチベーションを維持した取り組みができます。PDCAサイクルを回すメリットは、以下のとおりです。
- やるべきことが明確になる
- 課題を発見しやすい
- 効率的にタスクを実行できる
ここからは、それぞれのメリットについて解説します。
やるべきことが明確になる
PDCAサイクルに基づいた運用をすることで、目標達成のためにやるべきことが明確になります。目標から逆算して、順序だてた行動計画ができるためです。具体的なタスクがわかるため無駄なプロセスや管理体制の構築を省き、目標の達成まで効率的に進められるでしょう。
Check段階ではさまざまな観点による評価を都度行うため、現状に合わせた適切なタスクが明らかになります。品質のマネジメントにおいても、本来の目的を見失うことなく、到達点と実際の行動にズレが生じることを防止できるでしょう。
課題を発見しやすい
PDCAが構築されていれば、計画通りにいかない理由や課題を発見しやすくなります。目標に合った行動計画が明確な上、検証を繰り返すためです。ISO9001の運用においては、要求事項を満たすために足りない点は何かを明確にしやすくなります。
効率的にタスクを実行できる
PDCAサイクルの運用により、行動計画に沿って効率的なタスクを実行できます。目標達成に不要なタスクがないためです。無駄な作業が発生することなく必要なタスクのみに集中でき、業務の質の向上が期待できます。
PDCAの効果を高めるポイント
PDCAの効果を高めるためには、以下のポイントを意識することが大切です。
- 具体的な数値を用いる
- 課題や失敗は掘り下げた分析を行う
ここからは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
具体的な数値を用いる
PDCAの全てのプロセスにおいて具体的な数値を用いることで、目標や検証を可視化しやすくなります。現状の分析や、目標の数値までどのようなアクションや改善が必要かを明確にしやすいです。
数値化できていないと目標や検証、分析が曖昧になり、目標の達成や現状の改善までの道のりも長くなってしまいます。
また目標とする数値は、達成が可能なものにしましょう。現状からあまりにかけ離れていると、無理のある業務を負うことになったり、モチベーションが低下して結果的にPDCAサイクルが上手く回らなくなったということにもつながります。
課題や失敗は掘り下げた分析を行う
PDCAサイクルの中で明らかになった課題や失敗したことは、原因を徹底的に掘り下げて分析することが必要です。根本的な原因を明らかにすることで、適切な処置を行い、業務改善につなげることができます。
また、問題点やトラブルを活かした今後のリスクの発生も予測できるため、より効果的なPDCAにつながります。
まとめ:PDCAサイクルを回してISO9001の運用に役立てよう
ISO9001を取得・維持するための規格要求事項には、PDCAに基づいた考え方が反映されています。そのため、ISO9001の運用に当たって、PDCAサイクルを回し継続的な品質の改善を図ることは必要不可欠です。
PDCAサイクルを回す上で大切なのは、社内での課題のみ注力するのではなく、市場環境や顧客ニーズにも目を向けることです。ISOの規格要求事項を基に、PDCAの各フェーズにおいて具体的な数値を用いた分析や改善を行い、品質向上の成果につなげましょう。
この記事を書いた人
hata