アプリのスクラッチ開発とクラウド開発それぞれの特徴を比較
公開日:2020.05.18 最終更新日:2023.11.17
本記事では、アプリ開発で良く行われるスクラッチ型とクラウド型開発の、それぞれの方法の特徴を紹介していきます。
アプリ開発の方法でお悩みの事業者様は、ぜひご一読ください。
スクラッチ型アプリ開発とは?
スクラッチ型アプリ開発とは、専門知識のあるエンジニアに依頼し、真っ新な状態からアプリを作り上げる
方法です。
1からアプリを開発するため、細かい動作やデザインなどオリジナリティの高いアプリを作ることができます。
既存製品にない機能を追加したい場合や、他社よりも独自性を出したい場合に活用されます。
ただし、複雑な内容になればなるほど工数が多くなり、そのぶん費用が必要になります。
機能やアプリの種類により費用は大きく異なりますが、最低でも150万円ほどかかり、納品後の修正にも都度数10万程度必要となります。
業者によってアプリジャンルの得意・不得意もあるため、自分が希望するアプリに近いジャンルの実績が豊富な業者に依頼することでクオリティの高いものを作ってもらうこともできます。
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スクラッチ開発のメリット
スクラッチ開発には、3つのメリットがあります。
スクラッチ開発のメリット
- 競合と差をつけられる
システム開発を0から始めるので、競合とは違ったシステムを作れるようになります。自社の独自のシステムを作りたいという場合には、スクラッチ開発がおすすめです。 - コストを抑えらえる
スクラッチ開発は0からシステムを作り上げるため、他の開発方法よりもコストがかかってしまう可能性があります。この点は一見デメリットに見えますが、実装したい機能だけを取り入れられる上に、不要なコストが削減できるので、実質コストを大幅に抑えられるのです。 - 長い間使用できる
スクラッチ開発だと、システムが終わることがありません。そのため、安心して長く使い続けられるのです。
スクラッチ開発のデメリット
スクラッチ開発には、2つのメリットがあります。
スクラッチ開発のデメリット
- 開発に時間がかかる
システム開発を0から始めるので、最低でも約6ヶ月〜、長いもので数年かかってしまう可能性があります。開発に時間がかかるため、開発が完成した頃にはビジネスの環境が変化してしまっていたということもあり得るのです。開発の企画書である、要件定義から業務の内容が変わってしまったというリスクも考えておかなくてはなりません。 - コストがかかる可能性がある
開発に時間をかけると、開発に要するコストもかかります。人件費や時間がかかるような複雑なシステムは、とくに高額になるでしょう。高いもので、数千万円〜億単位になるものもあります。
スクラッチ型アプリ開発に向いているケース
アプリのスクラッチ型開発は、以下のケースにおすすめです。
- まとまった費用を用意できる
- オリジナリティの高いアプリを希望している
- 外注管理のノウハウがある
- リリースまでに半年~1年ほどかかっても問題ない
- 数年間の長期間での提供を想定している
スクラッチ型開発は、ある程度の予算を確保できスケジュール的にも余裕がある場合におすすめです。
スクラッチ型のメリットとして長期間の運用がしやすい点があるため、長期的なアプリ運用を考えている場合にも向いていると言えるでしょう。
ただし、スクラッチ型は自由度が高い分要望を細かく伝えなければイメージ通りのアプリにはならないため、外注先と密にコミュニケーションを取る必要があります。
クラウド型アプリ開発とは?
クラウド型アプリ開発は、ツールや開発プラットフォームを活用してアプリを作成する方法です。
専門知識がなくとも開発することが可能であり、既存アプリにあるような機能であれば簡単に搭載することができます。
開発期間が短く済むことも特徴で、最短3ヶ月という短期間かつ10万円程度の費用でアプリを作ることが可能です。
ただし、同じプラットフォームを活用した他社アプリともある程度似てしまうため、オリジナリティの高いものは作ることが難しくなってしまいます。
また、基本的にプラットフォームに依存しているため、サービスが終了してしまった場合はアプリのアップデート等が出来なくなってしまうこともあります。
なお、アプリ開発を外注する際にかかる費用の相場については、アプリ開発の外注にかかる費用をご確認ください。
クラウド開発のメリット
クラウド開発には、4つのメリットがあります。
クラウド開発のメリット
- コストが低い
サーバーやドメイン、ネットワーク機器などを自分で購入しなくても良いのが、クラウド環境のメリットです。そのため、初期投資を大幅にカットできます。ただし、クラウドサービスを提供している製造元との月額費用や契約費はかかります。 - 柔軟に対応できる
クラウド環境は、サイトへのアクセス数や事業規模などに対して、リソースを自由に扱えます。クラウドサービスを提供している製造元とのサブスクリプション契約によって、クラウド環境のリソースが決められます。リソースを追加したい場合や減らしたい場合でも、契約変更をクラウドサービスを提供している製造元と行えば調整できるようになるのです。 - 運用するコストが低い
クラウド環境では、クラウドサービスを提供している製造元が運用費を負担するという場合が多いです。そのため、インターネット上に公開した後のサーバーやドメイン、ネットワーク機器の修理費や人件費などのさまざまな運用費が抑えられます。 - 管理がしやすい
物理的な規定が少ないクラウド環境は、管理がしやすいです。セキュリティ、コンプライアンスなどに迅速に対応できるようになっています。
クラウド開発のデメリット
クラウド開発には、2つのデメリットがあります。
クラウド開発のデメリット
- カスタマイズに限りがある可能性がある
クラウドサービスを提供している製造元の契約内容にカスタマイズできる範囲が限られるため、カスタマイズが思うようにできなくなる可能性があります。 - 製造元を頼り切ってしまう
1つのクラウドサービスを提供している製造元に頼ってしまうと、他社の製造元に乗り換えづらくなってしまいます。また、契約を結んでいる製造元に大きなシステム障害が起こった場合には、自社にも悪影響を及ぼす可能性があります。いくらクラウド上だからといって安心し切ったり、製造元を頼り切ったりするのは危険なのでやめましょう。
クラウド型アプリ開発に向いているケース
クラウド型開発は、下記に当てはまる場合におすすめです。
- とにかく費用を抑えたい
- できるだけ早く新規にアプリをリリースしたい
- オリジナリティにはあまりこだわりがない
- 長期間での運用はあまり考えていない
クラウド型開発は、ある程度の機能が揃ったアプリをリリースしたいという場合におすすめです。
また、しばらくはクラウド型で開発したアプリの運用を行ってみて、アプリ運用の感覚が掴めたら業者に外注し、スクラッチで本格的なアプリを開発するという方法もあります。
アプリ開発の流れ
Webアプリの開発手順
- 作りたいWebアプリケーションを企画する
Webアプリケーションの内容やタイプなどを企画しましょう。画面表示や操作方法のことはもちろん、ユーザーがこのWebアプリケーションを使うことで、どのようなメリットが得られるのかということまで、具体的に考えて計画しましょう。 - プログラミング言語を決める
ブラウザ、サーバー、データベースにはそれぞれさまざまなプログラミング言語の種類があります。作りたいアプリケーションにはどのプログラミング言語が適しているのか、よく考えて決めて下さい。 - フレームワークを選定する
フレームワークとは、開発における枠組みや構造のことです。1からプログラミングで開発をすることは、非常に難易度が高いため、作業時間が多くなってしまう可能性があります。
そのため、あらかじめ適切なフレームワークを選んで活用すると、アプリケーションの開発が円滑に進みやすくなります。
また、選択したプログラミング言語に適しているフレームワークを選びましょう。例えば、「Ruby on Rails」というフレームワークならプログラミング言語「Ruby」という組み合わせが相性が良いです。 - 作りたいアプリケーションの開発ツールを選定する
開発したいアプリケーションの開発のツールを選びましょう。開発ツールとは、アプリケーションを開発する際の環境や場所のことを指します。開発ツールを選ぶメリットは、間違っているコードを検出して修正やエラーなどの箇所を教えてくれることです。より効率的にアプリケーションの開発作業が進められます。 - 開発したアプリケーションをインターネット上に公開する
アプリケーションを開発できたら、インターネット上に公開してみましょう。アプリケーションをインターネット上に公開する方法は、主に2つあります。レンタルサーバーを借りて公開する方法と、自分のオリジナルのサーバーで公開する方法です。
レンタルサーバーでアプリケーションを公開するには、まずレンタルサーバーを契約して、ドメインを獲得しなければなりません。ドメインを取得したら、公開するための設定を行います。エックスサーバー、さくらインターネット、ConoHa WINGなどが有名です。
レンタルサーバーとは、作ったアプリを入れる箱のようなものを指します。一方で、ドメインとは、作ったアプリの所在地を表すようなものです。
自分のオリジナルのサーバーで公開する際も、ドメイン自体はドメインを取り扱っている会社で取得する必要があります。しかし、サーバーは、自分で作らなければなりません。
自分のオリジナルのサーバーで公開することのメリットは、自分でシステムサーバーを運用できて、自由にカスタムができるため、既存のシステムとの連携が取りやすいことです。
自分のオリジナルのサーバーで公開することのデメリットは、システムサーバーを作るのに時間がかかってしまうことです。個人でアプリケーションをインターネット上に公開するなら、レンタルサーバーを利用することをおすすめします。
スクラッチ開発とクラウド開発の費用相場
スクラッチ開発の費用相場は、タイプや内容によって変わってきます。規模が小さいシステムの場合は、約200万円〜500万円程度が費用相場になります。規模が大きいシステムの場合だと、約2,000万円〜3,000万円程度の費用相場になるでしょう。
また、開発に携わるエンジニアのスキルや人数によっても、費用相場は変わってきます。詳しくは、以下の表をご覧下さい。
エンジニアのタイプ | 費用相場 |
フリーランスや下請けのエンジニア | 約40万円~80万円 |
大手企業のエンジニア | 約60万円~100万円 |
初級のエンジニア | 約80万円~100万円 |
中級 | 約100万円~120万円 |
上級 | 約120万円~200万円 |
クラウド開発は、スクラッチ開発よりも比較的にコストを抑えられます。初期コストは、約数10万円〜数100万円です。また、クラウドサービスを提供している製造元との月額の料金は数万円〜数10万円が費用相場になるでしょう。クラウド開発の費用相場は、以下の通りです。
データベースの連携 | 費用相場 |
データベースの連携がない場合 | 約200万円~ |
データベースの連携がある場合 | 約400万円~ |
アプリ開発で失敗しないために押さえておくこと
システム開発とアプリケーションの開発をするにあたって、いくつかのポイントを押さえておかないと、失敗してしまう恐れがあります。とくに、費用面には注意が必要です。
システム開発とアプリケーションの開発で失敗しないために、押さえたいポイントを紹介します。
押さえたいポイント
- 綿密に計画を立てる
綿密な計画を立てましょう。計画性がないと、収益化が上手くいかずに、失敗してしまう恐れがあります。具体的な計画を練ってから行動するようにしましょう。 - 市場調査を行う
現在、インターネット上に公開されているアプリケーションの種類は非常に豊富です。そのため、他のアプリケーションと差別化しなくてはなりません。
無料のアプリにはユーザーが流れやすいため、とくに有料でアプリを公開する場合は注意して下さい。 - バグが起こりにくい環境を作る
バグが起こりにくい環境を作りましょう。ある1つのバグが、大きなトラブルを引き起こす恐れがあります。例えば、お金が絡む内容があるアプリケーションの場合、アカウントの乗っ取りなどのバグが起こると大問題です。公開する前にテストや確認を何度も行いましょう。 - 開発コストを抑える
開発コストをできるだけ抑えましょう。アプリケーションの公開後に収益が発生するため、人件費などは大きな負担となります。そのため、最初は開発を1人で始めるのがおすすめです。資金に余裕ができたら、徐々コストをかけましょう。 - 小規模案件から始める
まずは小規模な案件から始めて下さい。大規模なアプリ開発は、コストや作業時間が多くかかってしまいます。最初は小規模な案件から始めて、スキルが上達したら徐々に大規模な案件を始めていくのがおすすめです。
スクラッチ型は1からアプリを開発し、クラウド型は既存プラットフォームで手軽にアプリを開発する
今回は、アプリ開発の2種類の方法であるスクラッチ型とクラウド型についてそれぞれの特徴を解説いたしました。
専門業者に外注するスクラッチ型開発を選ぶ余裕がなくとも、アプリの種類によってはクラウド型開発である程度まかなうことも可能です。
また、試験的にクラウド型でアプリを開発・運用してみて、目途が立ったら外注するといったように両者を併用するという方法もあります。
自社のリソースや予算と相談して、最適な方法を選んでみてください。
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この記事を書いた人
編集部員 城下
EMEAO!編集部員の城下です。雑誌編集者と人材コーディネーターの勤務経験を生かし、現在はWebコンテンツの作成を担当しています。業者選定ガイドでは真っ白でクリーンな情報を届け、皆様にとって有益な知識の溢れるお城となるようなメディアを目指します。よろしくお願いします!