【目的別】アプリ開発環境の種類や構築手順を解説
公開日:2023.11.20 最終更新日:2024.08.23
スマホアプリやWebアプリを開発するためには、目的に合わせた開発環境を構築しなければなりません。
開発ツールやプログラミング言語の選び方次第では、アプリ開発の工数が減少したり、メンテナンスが楽になったりする場合もあります。
そこで本記事では、アプリ開発環境の種類や構築手順について紹介します。
必要なプログラム言語についてもまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
アプリ開発環境の種類
アプリ開発環境は、大きく2種類に分られます。
- スマホアプリの開発環境
- Webアプリの開発環境
それぞれの特徴を紹介します。
スマホアプリの開発環境
スマホアプリとは、スマホにインストールされ、端末上でのみ作動するアプリのことです。
チャットや決済、音楽、写真など、日常生活でよく使うアプリが多いのが特徴です。
スマホアプリを開発する際は、AndroidやiOSなど、各OSに合わせた規格で作らなければなりません。
実際の開発現場では、複数種類のプログラミング言語や開発環境を使い分けながら作業しています。
関連記事:アプリ開発におすすめのプログラミング言語とは?種類と特徴を解説
Webアプリの開発環境
Webアプリとはインターネットを介して、Webブラウザ上で動作するアプリケーションのことです。
Webブラウザ上で利用できるため、スマホやパソコンにアプリをインストールする必要がありません。
Webアプリの開発では、フレームワークや開発ツールに適した開発環境を選ぶことが重要です。
開発環境の構築では、一つひとつの将来性や自社との相性も考慮しなければなりません。
Androidアプリの開発環境
Androidアプリの開発環境として代表的なのは次の3つです。
- Android Studio
- Unity
- React Native
それぞれの特徴を紹介します。
Android Studio
Android Studioは、Googleが提供するAndroidプラットフォーム向けアプリケーションソフトウェア開発用の統合開発環境です。
必要な機能がパッケージ化されているため、これ1つでAndroidアプリの開発を始めることができます。
Android Studioは、Windows・MacOSの両方で動作するので、開発に使用する機器を自由に選べるというメリットがあります。
機能の網羅性の高さ、対応機器の幅広さから、世界中の開発者に活用されている開発環境です。
開発者向けのWebサイト「Android Developers」では、コードエディタをはじめとした各種ツールを無料でダウンロードすることができます。
効率よくアプリ開発を進めるための「コード補完機能」も搭載されており、実務経験が少ない開発者でも扱いやすいのがポイントです。
Unity
Unityは、Unity Technologies社が開発したゲーム開発プラットフォームです。
Windows・MacOSの両環境で動作するため、汎用性が高い開発環境といえます。
Unityは年商10万ドル以下の企業であれば、無料で利用できるのもメリットの1つ。
Android・iOSアプリの開発はもちろんのこと、プレイステーションやエックスボックス向けのゲーム開発も可能です。
また、アセットストアが充実しているのもUnityの特徴といえるでしょう。
他の人が作成したプログラム部品や3D素材を購入することで、開発にかかる工数を削減することができます。
React Native
React Nativeは、Facebook社が2015年に発表した、オープンソースのモバイルアプリケーションフレームワークです。
JavaScriptやPythonなどのプログラミング言語を使って、モバイルアプリを開発できます。
React Nativeを使うと、iOSとAndroidの両方のモバイルアプリケーションを1つのコードベースから開発可能です。
開発者は同じコードを繰り返し書く必要がないため、開発時間を大幅に節約することができます。
React Nativeは、クロスプラットフォーム開発に対応しているのも注目すべきポイントです。
バグ修正や新機能追加も1箇所で済むため、再利用可能なコードを駆使しながら迅速な開発ができるでしょう。
関連記事:アプリ開発におけるクロスプラットフォームとは?おすすめのフレームワークも紹介
iOSアプリの開発環境
iOSアプリの開発環境として代表的なのは、以下の3つです。
- Xcode
- Xamarin
- Flutter
それぞれの特徴を紹介します。
Xcode
Xcodeは、Apple社が提供している統合開発環境(IDE)です。
Apple製品のアプリ開発に特化しており、iPhone・iPad・MacなどのApple製端末で使用するアプリを作成できます。
XcodeはMacにはインストールされているものの、Windowsで使う場合はMacOS環境の構築が必要です。
Windowsで仮想環境を構築したのちに、MacOS環境を用意してXcodeを導入しましょう。
Xcodeには、プログラム開発に必要なテキストエディタ・コンパイラ・デバッガなどが標準で備えられています。
手間をかけずにApple製端末で使用するアプリを開発できるのが特徴です。
Xamarin
Xamarinは、MicrosoftからVisual Studioの一部として提供されているアプリ開発環境です。
iOSアプリだけでなく、Androidアプリまで1つの環境で作成できるのがメリットといえるでしょう。
Xamarinでは開発言語にC#を採用しており、iOSアプリ・Androidアプリといったプラットフォームごとに別々の言語を用いて開発する必要はありません。
C#ならではの、LINQ・async/await・ラムダ式といった強力な言語サポート機能も利用可能です。
Flutter
Flutterは、Google社が開発したオープンソースのUI SDK(ソフトウェア開発キット)です。
モバイルアプリを開発するためのフレームワークで、iOS・Android・Web向けのクロスプラットフォームなアプリを開発できます。
Flutterの開発には、Dart(ダート)というプログラミング言語を使用します。
Dartは、Google社によって開発されたプログラミング言語で、世界的に人気の高い言語であるJavaScriptの設計を踏襲して作られています。
アプリ開発の環境構築に必要なプログラミング言語
アプリ開発の環境構築をするためには、適切なプログラミング言語を習得しなければなりません。
- Android・iOS両方のアプリ開発環境を構築するならPython
- 汎用性が高いアプリ開発環境の構築ならJava
Python・Javaの2つのプログラミング言語について解説します。
Android・iOS両方のアプリ開発環境を構築するならPython
AndroidとiOSの両方に対応したアプリを開発するには、クロスプラットフォームの開発環境を構築しなければなりません。
クロスプラットフォームとは、1つの開発言語をもとにWindowsやmacOSなど異なるプラットフォーム上で、同じ仕様のアプリケーションを動作させるプログラムのことです。
AndroidとiOSの両方のアプリ開発環境を構築するには、Python+Kivyの組み合わせがおすすめです。
PythonのオープンソースライブラリであるKivyを使用すると、PythonのみでAndroidとiOSの両方で動くアプリを開発できます。
Pythonは、機械学習・AI・ビッグデータなど、さまざまな分野で活用されているプログラミング言語です。
汎用性が高く、アプリ開発者の中でも人気が高いプログラミング言語といえるでしょう。
汎用性が高いアプリ開発環境の構築ならJava
汎用性の高いアプリ開発環境を構築するには、Javaを使うと良いでしょう。
Javaはマルチプラットフォーム対応のプログラミング言語で、速度と安全性のバランスに優れ、あらゆるOS上で動作させることができます。
コンパイラ言語であるため処理速度も速く、プログラムの動作も軽快であるのが特徴です。
セキュリティ面でも優れており、機密性が高い情報を扱うアプリの開発にも適しています。
アプリ開発環境の構築手順と必要なもの
アプリ開発環境を構築する際は、使用する機器によって手順や必要なものが異なります。
Windows・Mac・iPadのそれぞれで、アプリ開発環境の構築手順と必要なものを解説します。
Windowsでアプリ開発環境を構築する方法
Windowsでアプリ開発環境を構築する方法は、以下の通りです。
- アプリ開発環境を構築する目的を明確にする
- サポート体制が充実した開発ツールを選ぶ
- 生産性が高い方法やツールの利用を検討する
- 開発に必要な端末やサーバーを用意する
- 開発に必要なアプリケーションやツールをインストールする
Windowsアプリの開発に推奨されている言語には、C#・C++・Java・C言語などがあります。開発方法や他のツールとの相性も考えながら、最適なプログラミング言語を選びましょう。
環境構築が済んだら、アプリ開発に移ります。Windowsアプリの開発手順は、以下の通りです。
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
- アプリ開発
- アプリの動作テスト
- アプリのリリース
いきなり開発に着手するのではなく、最初の要件定義や設計を丁寧に行うことで、アプリのリリースまでスムーズに進められるでしょう。
Macでアプリ開発環境を構築する方法
Macでアプリ開発環境を構築する方法は、以下の通りです。
- アプリ開発環境を構築する目的を明確にする
- サポート体制が充実した開発ツールを選ぶ
- 生産性が高い方法やツールの利用を検討する
- 開発に必要な端末やサーバーを用意する
- 開発に必要なアプリケーションやツールをインストールする
基本的な流れはWindowsのときと同じですが、利用できるツールやアプリケーションが異なる場合も多いので注意しなければなりません。
また、Macでアプリ開発をする際には、Macのスペックにも注意しましょう。アプリ開発するのに必要なMacのスペックは、次のとおりです。
- バージョン:macOS 10.15.2.
- CPU:Core i5(1.5GHz/2コア以上)
- メモリ:4GB以上
- ディスク:HDDかSSDで64GB以上
アプリ開発などで仮想環境を利用する場合は、16GB以上のメモリがおすすめです。
iPadでアプリ開発環境を構築する方法
iPadでアプリ開発環境を整えるには、次のような方法があります。
- Swift Playgroundsを使う
- テキストエディタや統合開発環境(IDE)のアプリを入れる
- Monaca・Pythonista 3・JavaScript Anywhereなどのプログラミング環境やツールを使う
iPadでアプリ開発を行う際は、開発初期のアプローチがその後の多くの決定に影響を及ぼします。アプリの種類や表示方法に応じて、最適なアプローチを検討しましょう。
また、iPadでのアプリの開発は、次の5ステップで進めるのが一般的です。
- どのようななiOSアプリを作りたいか企画する
- 企画に沿ってiOSアプリの設計を行う
- 設計に沿ってiOSアプリを開発する
- 開発したiOSアプリの動作をテストする
- 開発したiOSアプリをリリースする
開発途中で大幅な修正が発生しないように、最初の企画を丁寧に行うことが重要です。
関連記事:iPadでもアプリ開発はできる?必要なものや開発ツールを紹介
まとめ:目的に合わせたアプリ開発環境を構築しよう
アプリ開発環境は、スマホアプリの開発環境と、Webアプリの開発環境に大別されます。スマホアプリの場合はOSごとの規格に合わせて、Webアプリの場合はフレームワークや開発ツールに合わせて開発環境を選ばなければなりません。
スマホアプリを開発する際は、開発環境やOSによって使用できるプログラミング言語が異なる点にも注意が必要です。使用する開発ツールやプログラミング言語についてよく検討して、目的に合わせたアプリ開発環境を構築しましょう。
この記事を書いた人
hata