FSSC22000とは?他の食品管理関係の認証との違い
公開日:2019.10.17 最終更新日:2021.08.24
本記事では、食品管理に深く関わるFSSC22000の具体的な概要と認証を取得するメリットなどをご説明します。
食品を取り扱う企業の事業者様は、ぜひご一読ください。FSSC22000とは?他の食品管理関係の認証との違い
FSSC22000とはどんな規格?
FSSC22000とは、国際的に定められた安全な食品を消費者に届けるための仕組みです。
食品を消費者のもとまで届ける過程における、衛生や品質管理のために必要なことが示されています。
FSSC22000で示されている内容をもとに自社に合わせた運用マニュアル(=マネジメントシステム)を作成し、マニュアルに沿った安全管理ができていると認められた事業者に付与されるのがFSSC22000認証です。
つまり、FSSC22000認証とは「国際的なルールに沿って安全な食品を扱っていること」を証明するためのものということです。
HACCPやISO22000との違い
FFSSC22000と同様に食品管理に関する規格は他にもあります。
HACCP(ハサップ)とISO22000がその代表例です。
実はこの3つは全くの別物ではなく、HACCPをもとにISO22000が作られ、ISO22000をもとにFSSC22000が作られています。
なぜFSSC22000が新しく制定されたかというと、ISO22000でもある程度の基準は定められているものの国や機関によって内容の解釈に幅があり、そのままではしっかりとした管理ができているとは言い難い状況で、より具体的な基準が求められるようになったためです。
FSSC22000にはISO22000の内容をもとに衛生管理の手法など具体的な内容が追加され、より基準が明確化されているため、認証取得に取り組みやすい内容となっています。
つまり、ISO22000よりもさらに安全で確実な食品安全マネジメントシステムを構築・運用するための、国際的な規格がFSSC220000となるわけです。
FSSC220000もISO認証同様取得には費用がかかり、料金の差はあるものの相場はおおよそ同じです。
あわせてこちらのISO認証取得にかかる費用の相場を確認して、おおよその費用感を知っておきましょう。
FSSC22000の対象となる分野
FSSC22000の規格で定められた食品管理マネジメントシステムは、食品に関わる製造業が対象となります。
マネジメントシステムの審査を行う一般社団法人日本品質保証機構のWebサイトでは、FSSC22000の対象分野に関して以下のように記しています。
- 腐敗しやすい動物性製品(ハム・ソーセージや乳製品、水産加工物など)
- 腐敗しやすい植物性製品(果物や野菜のジュースなど)
- 腐敗しやすい動物性および植物性の混合製品(ピザやサンドイッチ、惣菜など)
- 常温保存品(缶詰や砂糖など)
- 化学製品(ビタミンや添加物など)
- 包装資材(直接もしくは間接的に食品にふれるもの)
引用:一般社団法人日本品質保証機構HP
上記のように食品そのものに関することはもちろん、添加物や食品を包装する資材なども対象となります。
FSSC22000で求められている内容
FSSC22000は、HACCPおよびISO22000の内容を踏まえてさらにFSSC22000独自の内容を加えています。
FSSC22000において特に注目すべきは「前提条件プログラム」です。
前提条件プログラムとは、食品の安全管理が適切に行われるために前提として必要な環境を整えるためのルールです。
たとえば食品を扱う設備の清掃手順や設備の保守点検の方法、従業員の服装や現場における行動のルールなどが該当します。
しかし、同じ食品関連業といっても、食品製造工場と包装フィルムの製造工場では扱うものや作業工程も異なるため、同一の前提条件を適用しても適切な管理が行えるとはいえません。
そこでFSSC22000では、細かく前提条件プログラムの種類を分けることで、分野を問わず食品の安全管理が実現できているのです。
- 畜産業・水産業
- 食品製造
- 飼料、ペットフード
- ケータリング
- 小売
- 保管・輸送
- 容器包装製造
- 生化学製品製造
FSSC22000認証取得のメリット
FSSC22000認証取得によるメリットはいくつかありますが、自社内にもたらされる“対内的メリット”と取引先など他社との関係性のうえで起きる“対外的メリット”の2種類に分けることができます。
ここからは、対内的メリットと対外的メリットをそれぞれ詳しく解説していきます。
自社内における対内的メリット
- 確実性の高い安全・衛生管理の仕組み作りができる
- 食品安全に関するトラブルの可能性を下げられることで、万が一の際の製品回収のリスクも抑えられる
- マネジメントシステム構築の過程で製造工程の無駄を排除し、作業効率を上げられる
- 従業員の意識向上に役立てることができる
以上から分かるように、FSSC22000の認証を取得することで、より安全な食品を消費者に提供できるようになり、業務効率の改善もできるというメリットを得られます。
社外における対外的メリット
- 安全性の高い製品の提供をアピールでき、ブランドイメージが向上する
- 大企業や官公庁の入札案件で有利になる
- 国際的な規格なので、海外企業との取引拡大にもつながる
対外的なメリットとしては、他社との差別化によるブランディング力強化や海外との取引機会の拡大などが挙げられます。
FSSC22000認証をスムーズに取得するには?
FSSC22000は食品管理のマネジメントシステムの中でも特に厳格で徹底された内容です。
そのため、マネジメントシステムの構築・運用や必要な文書の用意、そして審査通過など、独学で行うには難しいのが現実です。
認証取得を目指す場合はFSSC22000のことを知り尽くしたプロのサポートを受け、万全の状態で審査を受けることが望ましいです。
FSSC22000認証取取得の実績のあるコンサル会社であれば、認証取得自体が初めてであっても予算と相談しつつ適切なサポートが受けられます。
業務に支障の生じないスケジュールで社内教育を行うことも相談可能です。
FSSC22000を取得している企業
食品管理関係の認証として特に厳格なFSSC22000ですが、では実際にどのような企業が認証を取得しているのでしょうか?
代表的な企業を3社紹介します。
認証取得企業①森永製菓株式会社
お菓子や飲料などで長年親しまれている森永製菓株式会社は、下記の工場4拠点と関連会社4社でFSSC22000認証を取得しており、企業Webサイトでも品質管理体制を公開しています。
- 三島工場
- 小山工場
- 中京工場
- 鶴見工場
- 高崎森永株式会社
- 森永エンゼルデザート株式会社
- 森永デザート株式会社
- 森永スナック食品株式会社
引用元:森永製菓株式会社 Webサイト
認証取得企業②ハナマルキ株式会社
長野県に本社を構える味噌製造メーカーであるハナマルキ株式会社は、大利根工場でISO22000、伊那工場とハナマルキタイ工場でFSSC22000を取得しています。
伊那工場では、長野県下味噌メーカー初のFSSC22000取得となりました。
ハナマルキはこれまで、高品質かつ安心安全な商品の提供のために、工場における安全システム構築を最優先課題として取り組んでまいりました。実際に2016年5月に伊那工場(長野県伊那市西箕輪2701)にて「FSSC 22000」を取得し、2017年5月に大利根工場(群馬県邑楽郡大泉町吉田1216)にて「ISO 22000」を取得しています。
引用元:ハナマルキ株式会社 Webサイト
認証取得企業③キユーピー株式会社
マヨネーズでお馴染みのキユーピー株式会社は、国内外のすべての生産拠点でFSSC22000などの食品の安全に関する認証を取得しています。
グループの国内外全生産拠点でFSSC22000等のGFSI認証を取得しています。今後も毎年第三者機関の審査を受けることで、食品安全確保の取り組みをさらに向上していきます。
引用元:キユーピー株式会社 Webサイト
FSSC22000とは、安全で確実な食品管理を徹底するための国際的な基準
以上、FSSC22000の概要や認証取得のメリットなどをご紹介してきました。
FSSC22000は食品に関するマネジメントシステムの規格であり、ISO22000よりも安全かつ確実な食品管理ができる仕組みを確立することができます。
認証を取得する過程で業務効率の改善も可能であり、認証を取得することで他社と差別化できるブランディング力も得られます。
食品を取り扱う企業であれば、会社の体制改善やイメージアップのためにも、FSSC22000取得を目指すほうがよいといえます。
ただし、認証取得には専門知識が必要なため、プロにコンサルティングをしてもらうことが一般的です。
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この記事を書いた人
編集部員 河田
編集部員の河田です。編集プロダクションでの書籍編集の経験を経て、現在はEMEAO!のWebコンテンツ編集・執筆とお客様へのインタビューを担当させていただいています。日々、コツコツと皆さんのお役に立つ情報を発信していきます!よろしくお願いします。