iPadでもアプリ開発はできる?必要なものや開発ツールを紹介
公開日:2023.11.16 最終更新日:2024.04.18
以前はアプリ開発というと高スペックなパソコンと、高度なプログラミング言語の知識が必要というイメージでした。しかし、最近ではiPadの性能の進歩と、さまざまな開発ツールの登場によりiPadだけで気軽にアプリ開発ができる環境になっています。この記事ではiPadでのアプリ開発に関心がある方へ、iPadでアプリ開発は可能なのか、必要なものやおすすめの開発ツール、独学でアプリ開発を学ぶコツを解説します。
iPadでもアプリ開発はできる?
アプリ開発にはMacやWindowsのパソコンと、「Xcode」などのIDE(アプリ開発ツール)やプログラミング言語を使うのが一般的です。
IDEはパソコンでアプリ開発をするために作られているものであり、iPadOSには対応していません。そのため現状ではiPadだけを使って、本格的なアプリを開発するのは難しいと言えます。しかし、個人が気軽に使用できる簡単なアプリなら、iPadOS対応のアプリ開発ツールを使って開発が可能です。
iPadのプログラミング用アプリである「Swift Playgrounds」のアップデートにより、iPad上でアプリの開発からApp Storeへの申請や登録、公開までできるようになりました。ただし、申請・登録にはApp Developer Program(有料)への加入が必要です。
iPadは持ち運びしやすいだけではなく、大きく見やすい画面や拡張性など、性能の高さと利便性を併せ持っています。将来的にはその特性を活かして、アプリ開発に欠かせないツールになる可能性があります。
iPadでのアプリ開発に必要なもの
iPadでのアプリ開発にはiPad本体の他、プログラミング言語や開発ツール、それらに関する知識が必要です。この章では、iPadを使ったアプリ開発のために何が必要かについてご紹介します。
iPad本体
まずはiPad本体を準備しましょう。iPadには、iPad、iPad Airやmini、proなどさまざまなモデルが発売されています。アプリ開発に向いているのは処理能力が高く、クリエイティブな仕事で実力を発揮するiPad Proです。
iPad Proであればノートパソコン並み、もしくはそれ以上の処理性能であるためアプリ開発を妨げることなく、快適に作業が進むでしょう。画面も大きく、容量も最大2TBまでと大容量です。注意が必要なのは、何世代か前のiPadを使用すると開発ツールが対応しておらず、使えないことがあるという点です。
キーボードとマウス
iPadでアプリ開発をする場合、パソコンのように画面とキーボードの組み合わせという仕様になっていると文字を打ちやすく、仕事しやすいでしょう。また画面を広く使えるようになるため作業を効率化できます。
キーボードの形状はiPadを保護するケースとキーボードが一体化したものと分離型のものがあります。ケース一体型はiPadとキーボードを持ち運ぶ際に便利で、分離型はワイヤレスで接続するため場所を選ばず自由に使えるのがメリットです。
マウスもある方が作業効率が向上します。純正のMagic Mouseの他、Bluetoothに対応するマウスなら使えるため、自分が使いやすいマウスを選びましょう。
キーボードやマウスなどの周辺機器は使用する前に、自分のiPadのOSバージョンに対応しているかどうかを確認する必要があります。
スタンド
iPad用のスタンドがあると画面が見やすくなり、長時間使用時の首や肩への負担を減らせます。スタンドの形状は置き型・折りたたみ型・アーム型・自立型があります。通常机の上に設置して使うのは置き型、持ち運びに適しているのは折りたたみ型です。
プログラミング言語
「Swift」は、iPad OSやiOSのアプリを開発する際に使うプログラミング言語で、現在主流となっています。Swiftの他にもアプリ開発に使用するプログラミング言語は多数ありますが、シェア率が高いのはJavaScript、Python、Rubyといった言語です。
JavaScriptはアニメーション表示など、コンテンツに動きを加えたいときに活躍します。PythonはAI、データの収集や分析などを得意とし、YouTubeなど有名なアプリに使用される言語として知られています。Rubyはシンプルなコードで覚えやすいことに加え、日本語で書かれた情報が多く、学習しやすいのがメリットです。
関連記事:アプリ開発におすすめのプログラミング言語とは?種類と特徴を解説
開発ツール
アプリの開発には、XcodeやEclipseといったアプリ開発ツールと、プログラミング言語の知識が必要でした。しかし、iPadでのアプリ開発に便利なツールが登場したことで、より手軽にアプリの開発が可能となっています。開発ツールは、どのようなアプリを作りたいのかによって変わります。
iPadで使えるおすすめアプリ開発ツール
ここでは、iPadで使えるおすすめのアプリ開発ツールをご紹介します。
Monaca
Monacaはクラウドを用いたアプリ開発サービスです。HTML5やJavaScriptを使用したスマートフォンをはじめパソコン、iPad、Webなどタイプを問わず対応できるさまざまなアプリを開発できます。
Swift Playgrounds
Swiftを使用する際には、開発ツールとして「Swift Playgrounds」がおすすめです。もとは子どもがプログラミングを楽しく学べる学習アプリでしたが、バージョンアップによりSwiftを学びながら、iPad上でアプリを作りApp Storeで公開できるまでの機能が追加されました。iPadでアプリ開発をしたい方は、ゲームをする感覚でSwiftが学べるSwift Playgroundsを活用しましょう。
XcodeはApple製品のアプリ開発用の統合開発環境で、Mac(パソコン)専用となっており、iPadでは使えません。XcodeとSwift Playgroundsを使えば、iPad上のSwift Playgrounds のコードをXcodeで読み込み、続きをXcodeでするといったことが可能です。Swift Playgroundsだけでもシンプルなアプリの開発や公開はできますが、本格的なアプリ開発にはXcodeを利用する必要があります。
Javascript Playgrounds
Javasriptのコードを書いた時、そのコードの結果をすぐに確認できるツールのことを指します。Javascript Playgroundはその中でもJavascriptに特化したものです。
書いたコードの結果がすぐに反映されるので、コードに誤りがないかすぐに確認したり、プログラミングの練習に使えたりといった様々な利点があります。
Pythonista 3
「Pythonista 3」はPythonの開発環境で、iPadOS/iOSで動作します。iPadでPythonのプログラミングをするための数少ないツールのうちの一つです。参考になる開発例が多数公開されており自由に開発できます。
関連記事:Pythonでアプリ開発!事例やフレームワークを解説
Codea
「Codea」は使いやすく、初心者向きのツールです。iPadでアプリ開発をするのに便利な機能が多数備わっており、タッチ操作でもプログラミングしやすい設計となっているため、効率良くアプリ開発ができるでしょう。また、Dropboxとの連携により画像などのファイルを取得でき、またXcodeのプロジェクトエクスポートに対応しています。
JointApps
デジタルハリウッド株式会社が提供する、プログラミングの知識を全く持たなくてもスマホ用のアプリの作成体験ができるツールです。
「だれでも」「かんたんに」「たったの4ステップ」でアプリ作成体験ができることをコンセプトにしています。元々はPCのみで使用できるものでしたが、2015年からiPadへの対応も始まりました。
Textastics
「Textastic」は、HTML、JavaScript、C、C++などの言語に対応し、Safariでプレビューが見られる操作性が高いツールです。FTPなどのサーバーへの接続の他、DropboxやGoogle Drive、iCloudなども利用可能です。
Scratch
「Scratch」は、子ども向けのプログラミング開発環境として開発されました。プログラミングはキーボードでコードを入力していきますが、Scratchはブロックを組み合わせることでゲームアプリを作ります。また、作ったアプリを世界のユーザーと共有できるのが特徴です。
ScriptKit
「ScriptKit」は、iPadで操作することを前提に作られた、実用的なアプリを開発できるツールです。文字で入力しなくてもドラッグ&ドロップでコーディングできるようになっています。
iPadでアプリを開発するメリット・デメリット
個人で楽しむ、シンプルなアプリの場合はiPadだけで開発できます。iPadでアプリ開発をすると、どのようなメリットおよびデメリットがあるのかについて解説します。
メリット
iPadでアプリ開発ができることにより、アプリ開発へのハードルが下がります。たとえばSwift Playgroundsのようなツールを活用することで挑戦しやすいものになりました。
また、iPadは他のApple製品(MacBookなど)よりも購入費用を抑えられること、iPadは軽く薄いため持ち運びが楽であり、いつでも思い立ったときに作業できる点もメリットです。
デメリット
デメリットは、iPadのみでは本格的なアプリを開発できない点です。iPadには、パソコンでアプリ開発をするときに使用する統合開発環境はインストールできません。他にはパソコンと比較して画面が小さく、作業効率が悪い点もデメリットと言えます。
アプリ開発を独学で習得するコツ
独学でアプリ開発を習得するには、書籍のほか、初心者にもわかりやすくアニメーションを使って解説するものや、講座を動画で配信するアプリなどを活用すると良いでしょう。
開発手順を定める
独学でアプリ開発を学ぶために大切なのは開発手順を定め、計画通りに実行することです。
開発は次の手順で進めます。
- まず何を作りたいのかを決める
- それに合ったプログラミング言語を決める
- プログラミング言語と開発環境を学ぶ
- アプリを開発する
何を目的でアプリを作りたいと思ったのか、動機を明らかにしておきましょう。
パソコンと併用する
シンプルなアプリはiPadの開発ツールを活用して作成できますが、本格的なアプリを開発するには至っていません。慣れてきたら、MacBookなどパソコンでの作業と併用することをおすすめします。
実績を作る
実績を作るのも良い方法です。仕事としてアプリ開発の経験を積むことにより、否が応でも実力がつくでしょう。ある程度実績ができれば、エンジニアとして仕事の依頼が増える可能性もあります。
スクールの活用も検討する
独学で学んでいると、理解するのに時間がかかるところで学習がストップすることがあります。独力で解決しようとしても難しく、結局途中で止めてしまうことになりかねません。独学に挫折しそうなときは、スクールを活用するのも一つの手です。
iPadでアプリ開発は可能
iPadがあればアプリの開発から申請、登録までできます。iPadを使ったアプリ開発には、iPad本体や周辺機器、開発ツールなどが必要です。現在はまだ本格的なアプリの開発はできませんが、シンプルなアプリであれば開発ツールを活用することで以前より簡単に作れるようになりました。今後はiPadだけでも本格的なアプリ開発が可能になることが期待されます。
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この記事を書いた人
編集部員 濵岸
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