iOSアプリの開発に必要なものや手順を徹底解説!
公開日:2023.11.16 最終更新日:2024.04.18
iOSのアプリ開発に興味はあるけれど、やり方や開発環境が分からないという人も多いのではないでしょうか。実際にiOSアプリを開発するには、さまざまな準備や学習が必要となります。
この記事ではiOSのアプリを開発するために準備することや、方法などを紹介します。
iOSアプリとは
iOSアプリとは、iPhoneやiPadなどのApple製品に搭載されるiOS向けに開発されたアプリケーションのことです。
iOSアプリを提供するAppStoreの2022年の売上は、1兆1000億ドル(約150兆円)を超えていることからも、iOSアプリの開発市場は盛んであるといえます。
エンジニアではない、通常のユーザーからは「アプリ」や「iPhoneアプリ」などの通称で呼ばれることが一般的です。
iOSアプリを開発するのに必要なもの
iOSアプリを初めとする、アプリケーションやソフトウェアの開発には、機材やツールなどの準備が必須です。
「開発のための機材」と聞くと、高度な道具をイメージする人も少なくないかもしれませんが、開発するアプリの内容によって、準備するものも大きく異なります。たとえば、簡易的なアプリ製作であれば、後述するパソコン+無料ツールの用意で事足りる場合がほとんどです。
パソコン
アプリ開発には、コーディングと言われるプログラミング言語を書く作業を行います。そのため、パソコンやスマートフォンなどの、iOSアプリのコーディング用のソフトウェア(エディター)をインストールできるデバイスが必要です。
コーディング用のデバイスとしては、パソコンを用意することをおすすめします。上述したように、スマートフォンやタブレットでもエディターアプリが提供されているため、パソコンでなければアプリ開発ができない訳ではありません。
しかし、キーボードが搭載されているパソコンの方が、普通に文章を入力するのと同様に、プログラミング言語の入力はしやすいと言われています。
他にも、コンパイルと言われる完成したコードをコンピューター向けに翻訳する作業では、スマートフォンやタブレットに比べて、処理能力の高いパソコンの方がスピードが早いといったメリットが挙げられます。
また、アプリ開発で使用するパソコンの機種としては、Apple製品であるMacbookやiMACをおすすめします。
MacbookやiMACなどのApple製パソコンに搭載されているOS「MacOS」は、iOSと同じくAppleにより開発されたため、互換性や相性が他のパソコンに比べて優れています。
開発に適したパソコンを選ぶ際は、以下のスペックを基準にしてください。
- CPU:Core i5 or Ryzen 5 or Apple M1
- メモリ:8GB以上
- ディスク:HDDかSSDで256GB以上
高画質なゲームや大規模なシステムと同期するようなアプリを製作する場合は、上記のスペックより高性能なパソコンが必要になる場合もあります。実際に製作したいアプリと比較したうえで、パソコンを決めてください。
開発ツール
開発環境のハード面であるパソコンやタブレットなどのデバイスが用意できたら、次はソフトウェア面にあたる開発ツールを準備する必要があります。
プログラミング言語
iOSのアプリ開発において最も重要とされるプロセスのコーディングを行うためには「プログラミング言語」の知識が必要になります。
プログラミング言語にはいくつもの種類があり、中にはiOSアプリの開発専門のプログラム言語もあります。
関連記事:アプリ開発におすすめのプログラミング言語とは?種類と特徴を解説
Apple ID
開発したiOSアプリを配信する場合、無料、有料を問わずにAppStoreを経由することがAppleにより義務付けられています。
そのため、iOSアプリを配信する場合は、AppStoreの販売者として「Apple ID」を取得する必要があります。
iPhone本体
完成したiOSアプリをテストするためには、iPhoneやiPadなどのiOS端末を用意する必要があります。
また、注意点として、開発したアプリを外部に配信したい場合は、現在流通量が多い最新機種〜3世代以降の端末でテストを行うようにしてください。古い端末ではエラーが発生しなくても、新しい機種ではトラブルが起こる可能性があるためです。
また、アプリにタブレット向けの機能を付ける場合は、iPadも用意する必要があります。
最後になりますが、実はMacbookでもiOSのエミュレート機能により、アプリテストを実施することが可能です。しかし、Macbookはタッチパネルを搭載していないため、ユーザー目線でのテストを行うことが難しいためおすすめできません。
iOSアプリ開発に適した開発環境
次に開発環境と呼ばれる、iOSアプリの開発に必要なソフトウェアやツールなどを紹介します。
開発環境は使い勝手や操作感がソフトによって大きく異なるため、自分にとって使いやすい開発環境を導入することが、アプリ開発を効果的に進めるコツになります。
そのため、アプリ開発に入る前に、自分にあった開発環境を吟味しましょう。
Xcode
「Xcode」は、iOSアプリの製作に最も使用されているソフトウェアです。
MacOS専用の統合開発環境であり、後述する「Swift」と呼ばれるiOSアプリ向けに開発されたプログラミング言語を用いて開発を行うことができます。
Xcodeの特徴としては、「ストーリーボード」という機能によりドラッグ&ドロップで操作感やデザインの変更が可能なため、直感的な操作でアプリが開発できることが挙げられます。
そのため、多少の変更であればプログラムを書き直す必要がありません。また、Appleの公式ツールでもあるため、開発からリリースまで行えるのは嬉しい点です。
Flutter
FlutterはGoogleが開発した開発ツールです。Flutterの特徴はAndroid OSとiOSのハイブリッドプログラム言語である「Dart(ダート)」が使用できる点です。
AndroidとiOSのアプリは、ユーザーから見るとあまり違いは感じられないかもしれませんが、構造には大きな違いがあります。
そのため、AndroidとiOS、両方のアプリを製作する場合は、別のアプリを製作するのと大差ないため、二倍の時間が掛かると言われています。その点、Flutterを使用すれば、一つのアプリ製作で済むため、時間が節約できます。
iOSアプリ開発に適した言語
iOSに限らずアプリ製作には、プログラミング言語の知識が必須です。ただし、プログラミング言語によって得意とする製作物に違いがあります。
今回は、iOSのアプリ製作に使われる頻度の高い言語を紹介します。
Swift
「Swift」はAppleが開発したApple製品用のアプリケーションを製作するためのプログラミング言語です。前述のXcodeにて使用するプログラミング言語です。
「Swift」の特徴としては、他の言語と比較して言語構造が単純なため、覚えたりコーディングしたりすることが簡単な点です。また、「Swift」はiOSが使用されており、iPhoneやiPadだけでなく、Macbookやスマートウォッチなどの他のApple製品のソフトも対応しています。
学んだことを別の開発に適用できるのは、大きなメリットといえます。
Java
「Java」は、インフラやサイト製作など、アプリ開発以外の様々な分野で使用されているプログラム言語です。応用が利き、自由な表現力がある点が大きな特徴です。
また、金融機関などでも使用されていることから、セキュリティを重視したアプリ開発でも活用できます。
しかし、初心者が最初にコーディングをするプログラミング言語としては、難易度が高いので、ある程度経験を積んだら、勉強してみると良いでしょう。
Python
「Python」は、コードがシンプルなプログラム言語にも関わらず、AIやブロックチェーンなどの高度な開発に使用できることで知られています。Pythonの大きなメリットとして、コンパイルが必要ないことが挙げられます。
プログラミング言語はコーディングが完了したあと、コンピューターが理解できるように翻訳(=コンパイル)が必要です。
そのため、コーディングしたままの状態でコンピューターに読み込ませられるので、エラーなどの確認がしやすいです。
また、Pythonは「Django」や「Bottle」のように、開発する対象に特化した様々なテンプレートが存在しています。Pythonと一口に言っても範囲が広いので、自分にあったフレームワークを検討してみましょう。
関連記事:Pythonでアプリ開発!事例やフレームワークを解説
C#
「C#(シーシャープ)」は、Microsoftが開発したプログラミング言語です。
ハイクオリティなゲームの製作などにC#を使用されることが多く、製作するアプリの内容によっては、C#(シーシャープ)が必須です。
また、Officeの機能のひとつである「Visual Studio」というプログラムエディターにも対応しているため、WindowsでiOSアプリの開発をしたい人にとっては、必須といえます。
JavaScript
JavaScriptはサイト製作に使用されることの多いプログラミング言語です。アプリ製作で使用する場合は、別のプログラミング言語より、読み込みが遅い場合があります。
とはいえ、HTMLlからコピーするようなアプリでは有用性が高いともいえます。
iOSアプリの開発手順
では実際に開発する場合の手順を確認します。
開発環境の構築
まずは、前述したデバイスとツールなどの環境を整えてください。
開発するアプリのジャンルが決まっている場合は、それに対応したツールを選択すると、アプリ開発が効率的に進みます。
アプリの企画
どのようなアプリを開発したいのか、デザインや内容などを決めてください。
予算や人員などのリソースの他に、プログラミングに関するスキルが開発するアプリに対応できるものかも確認しましょう。
画面の製作
企画した内容をもとに、画面やレイアウトの設計図を製作します。
紙に手書きで書くのも良いほか、ペイントソフトなどを使用することもいいかもしれません。
また、最近のツールでは、アプリの画面のレイアウトが同梱されていることも多いので利用すると便利です。
「機能」や「ボタン」のデザインもこの項目で扱います。
設計
企画や画面の設計図をプログラミング言語に落とし込めるかを設計していきます。この段階で開発環境と設計内容に齟齬を来たしたら問題になります。
開発
設計が完了したら開発に入ります。複数人で開発を行う場合、設計書の自分が書いてない箇所がよく分からないことがあります。
その場合は、想像で製作を進めずに確認をとりながら開発にあたることが重要です。
テスト
開発が一区切りついたら、iPhoneにアプリをインストールして動作テストを行ってみてください。全ての開発を行ってからテストを行うと、バグが判明した際、全てのコードを確認しなくてはなりません。
そのため、個別に確認を行う方が安全です。
リリース
アプリの開発が一通り完了したら、一般公開である「リリース」を行います。
iOSはAppleのプラットフォーム「App Store」で配信する必要があります。
開発したiOSアプリを収益化する方法
リリースしたiOSアプリの利用者が増えてきたら、アプリで収益化を考える人もいるでしょう。
以下に代表的な収益化の方法を紹介します。
注意点として、iOSアプリで収益が発生した場合、収益から一定のマージンをAppleに支払わなくてはなりません。また、マージン率はアプリの収益額によって変動し、売り上げが100万ドル以上であれば30%、100万ドル以下であれば15%が適応されます。
アプリの利用を有料にする
アプリ自体に手を加えず収益化する方法として、アプリの利用(ダウンロード)を有料にする方法があります。
App Storeで、ダウンロード時の料金を設定することで、アプリを有料化することができます。
アプリ有料化のメリットとしては、最初に料金が支払われるため、後述する基本利用料が無料であるアプリのように、利益が全く発生していないのに、運用コストだけが増加してしまうリスクを抑えられる点が挙げられます。
一方デメリットとしては、定期的な収益がないため、一度お金を受け取ったらアプリの終了時まで、不具合や新しい端末向けのアップデートを継続しなくてはいけない点があります。
もちろん、有料アプリだからといってアップデートをする義務はありませんが、致命的なエラーを放置してしまうと開発者としての信用に傷が付いてしまう可能性があります。
アプリ内に広告を載せる
アプリの中に、様々な広告が掲載されているのを見たことがある人は多いと思います。多くのアプリが、アプリ内広告で収益を発生させています。
アプリの収益計算に3つの方式、広告の表示される大きさや回数で報酬を支払う「インプレッション方式」、広告からクライアントへのアクセスされた回数で支払う「リワード広告」、広告に表示された製品が購入に至った場合、売り上げの一部をアプリ製作者に支払う「アフィリエイト方式」があります。
また、アプリ広告の表示方式にも種類があり、同じように3方式の広告があります。
ネイティブ広告
広告がアプリのデザインやフォントに溶け込んでいるアプリです。メリットとしては、ユーザーのアプリ体験を阻害しないため、アプリの評価を下げずに広告を表示できる点がメリットです。
しかし、アクセス数で収益が変化する「リワード広告」の場合は、ユーザーが広告を意識しにくいため、利益が低下する可能性があります。そのため、ネイティブ広告では「インプレッション広告」を採用して、薄利多売の方式をとるなどしましょう。
インタースティシャル広告
インタースティシャル広告とは、広告がアプリの全面に覆われる形で表示される形式です。メリットとしては、ユーザーの広告認知度があがるため、アクセス数が伸びる点と、インプレッション方式の単価が高い点が挙げられます。
一方、デメリットとしては、アプリのスムーズな使用を阻害するため、ユーザーからの評価が悪い点があります。そのため、インタースティシャル広告を導入する際は、データのダウンロードやローディング中などの待機時間に表示させるのが得策です。
バナー広告
画面の一部分に常時表示される広告を「バナー広告」といいます。バナー広告は表示時間が長いので「インプレッション方式」での利益はあげやすいと言われています。
ただし、アプリの表示画面を占領して広告を表示するため、広告の位置や大きさに注意しないと、ユーザーからの評価が悪くなり、アプリ利用率の低下に繋がります。
アプリ内に課金サービスを設ける
アプリの購入金額を無料もしくは低価格に設定したうえで、追加機能を使用する場合に料金を回収する収益化の手法もあります。
スマホゲームの課金などはこの収益モデルに入るほか、お試しとして無料でアプリを配信して内部課金として、完全版を販売するなどアプリの購入と同じような方法を取ることもできます。
ただし、基本料金を無料にすると、内部課金が予想以上になかった場合、アプリの管理費で赤字になってしまうケースも珍しくありません。
また、広告を非表示にするなどの課金オプションを設けることで、ユーザーに収益モデルを選んでもらうことも可能です。
iOSアプリとAndroidアプリの違い
iOSアプリとシェアを争っているAndroidアプリは、見た目からは違いを感じない人は多いかもしれませんが、中身の構造や開発環境などには大きな違いがあります。
開発言語
Androidも、iOSと同じく「Java」や「C#」などのプログラム言語を用いてアプリ開発を行うことができます。
ただしOS毎に使用されるプログラム言語の人気度は異なります。例えば、「Swift」は、iOSアプリの製作用に開発された言語のため、iOSアプリ開発では、多大な人気を誇っていますが、Androidのアプリ製作で用いられるケースは極めて稀です。
また、OSによってアプリの構造は大きく異なるため、あるOS向けに製作したアプリをそのまま別のOSのアプリ開発に流用することは極めて困難です。
同時に、AndroidとiOSの両方に提供するアプリを製作したければ、 開発ツール「Flutter」とプログラム言語「Dart」を用いる方法があります。
開発環境
Androidの「開発環境」は「開発言語」と同様に、iOSのアプリ開発と共通する物が多いです。具体的には、コーディングに使用されるMicrosoft社提供の「Visual Studio」や上述の「Flutter」はiOSとAndroid、両方のアプリ開発に使用できます。
一方、「Xcode」や「Android sudio」は、それぞれiOSとAndroid用のアプリ開発にしか使えないので注意が必要です。
公開先
アプリはOSのプラットフォームによって公開先が異なります。
iOSの公開先は「App Store」ですが、Androidは「Google Play」です。とはいえ、「App Store」と「Google Play」は両方とも、アプリを公開するのに審査が必要な点は共通しています。
また、AndroidのアプリはiOSアプリと異なり、プラットフォームを通さずに「apkファイル」として、直接配布することが認められています。ただし、このようなアプリはGoogleの審査を受けていないことから、ウイルスの危険性が高いと見なされているため、一般ユーザーはインストールを避ける傾向にあります。
公開審査
アプリの審査基準は、公開するプラットフォームによって異なります。App Storeでは、エンジニアが直接確認しながら審査するため、判定が出るまで1週間以上かかる場合もあります。
その点、Google Playは、AIによる自動審査とエンジニアによる人力を組み合わせているため、比較的審査が早いと言われています。とはいえ、自動審査による不具合でいつまで経っても審査の結果がでない場合もあるので注意が必要です。
公開費用
アプリをプラットフォームでリリースするには料金が必要です。App Storeだと年99ドル、Google Playだと初回で25ドル必要です。
iOSアプリの開発を始める際の勉強方法
プログラミング初心者がiOSアプリ開発を勉強するには、以下の方法が効率的です。
Webサイトや本で学ぶ
Webサイトには、プログラミングに関する情報が満載です。学習の目標設定のために、一旦製作したいアプリを考えましょう。
そのアプリに必要なプログラム言語を学習することをおすすめします。また、特にこだわりがなければ、比較的難易度の低い「Swift」から学習し始めることをおすすめします。
プログラミングスクールで学ぶ
近年は、エンジニアの需要が高まっているため、エンジニアを養成するためのプログラミングスクールが増加傾向にあります。
勉強するプログラミング言語によっては、一人で教材を読み込むだけでは理解することが難しいでしょう。
その点、プログラミングスクールでは、エンジニアが疑問点を直接解説してくれるため、躓きにくいといったメリットがあります。
独学での勉強に自信の無い人は、プログラミングスクールに通ってみるのも、アプリ製作への近道といえます。
勉強会に参加する
iOSアプリの開発が人気になるにつれて、エンジニア同士で開催される勉強会が増えています。
現役のエンジニアからスキルを学べるほか、モチベーションの向上にもなります。
iOSのアプリ開発は学習しながら行う
いかがでしたでしょうか。
今回はiOSのアプリ開発について紹介してきました。Androidアプリの開発に慣れている人でも、iOSの場合は苦労することもあるので、しっかりと学習してから開発に取り掛かりましょう。
また、やりながらの方が身につきやすいため、実際に手を動かしながら学習しましょう。
iOSのアプリ開発に悩んだ際にはEMEAO!へのご相談を一度ご検討ください。
この記事を書いた人
編集部員 濵岸
編集部員の濵岸と申します。コンテンツ作成と取材を主に担当しております。身長が低いため学生時代は「お豆」と呼ばれていました!豆らしく、皆様の役に立つ記事を「マメに豆知識を!」の意識で作成します!どうぞよろしくお願いいたします!