タブレット向けアプリ開発に適した言語やツールまで徹底解説!
公開日:2023.11.16 最終更新日:2024.04.18
タブレットは、スマートフォンやPCとは異なる特性を持つデバイスとして、ビジネスからエンターテインメントまで多岐にわたる用途で利用されています。
そのため、タブレットに特化したアプリ開発は、ユーザーのニーズに応えるだけでなく、デバイスの特性を活かすことが重要です。
この記事では、タブレット向けのアプリ開発に関する費用、期間、流れ、言語やツールの選定、さらには開発の際のポイントについて詳しく解説します。
タブレット向けのアプリとは
タブレット向けのアプリは、スマートフォンと比べて大きな画面サイズを持ち、独自のインターフェースや操作性を持つデバイスに最適化されているアプリです。これにより、一部のビジネスアプリや教育用アプリ、イラスト制作や音楽制作といった特定の用途に特化したアプリケーションが存在します。
また、ゲームや動画視聴などのエンターテインメント用途でも、タブレットの大画面を活かした内容が求められます。
タブレット向けのアプリ開発にかかる費用の相場
タブレットアプリの開発にかかる費用を検討する際、多くの要因の考慮が必要です。アプリの目的、必要な機能、デザインの複雑さ、予想されるユーザーの数、そしてアプリの寿命や保守にかかる期間など、これらすべてが総合的なコストの一部です。
一般的な費用
タブレット向けのアプリ開発の費用は、アプリの機能や規模、使用するツールや技術、開発チームの経験や専門性によって大きく変動します。一般的には、シンプルなアプリで数十万円から、中規模のアプリでは数百万円、大規模で多機能を持つアプリの場合、数千万円以上となることが珍しくありません。また、カスタムデザインや特別な技術を使用する場合、追加のコストがかかることも考慮する必要があるでしょう。
アプリの種類ごとの目安
アプリの種類ごとの目安は、以下の通りです。
教育アプリやビジネスアプリ
このタイプのアプリは、特定の情報の提供やタスクの効率化を目的としています。シンプルなクイズアプリや基本的な業務効率化アプリなら数十万円で済むこともあります。しかし、高度なインタラクティブ要素やデータベース連携、クラウド機能などが必要になると数百万円以上の予算が必要となるでしょう。
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ゲームやエンターテインメントアプリ
ゲームの開発は、グラフィックス、サウンド、ゲームプレイ、物理演算などの要素が絡むため、開発コストが高くなる傾向があります。シンプルな2Dゲームでも数百万円は見込めるはずですが、3Dゲームや大規模なMMORPGのようなものは数千万円以上となり、一部のゲームはそれを大きく超えることもあります。
専門的な制作ツールや業務用アプリ
企業が内部で使用する専用のツールや、特定の業界向けの専門アプリの場合、ユーザーの具体的なニーズや要求に応じてカスタマイズが必須。これにより、開発の複雑さやコストが増加します。数百万円から数千万円以上の予算を考えることが多いです。
タブレット向けのアプリ開発にかかる期間
タブレットアプリの開発期間は、さまざまな要因によって大きく変わる可能性があります。まず、アプリの機能や規模が大きな要因です。例えば、単純なタスク管理アプリや計算機のようなシンプルなアプリでは1〜3ヶ月の開発期間を要します。
しかし、SNS機能やデータベース連携、API通信を伴う中規模のアプリの場合、3〜6ヶ月の開発期間が必要となることが一般的です。一方、オンラインゲームや大規模なビジネスアプリケーションのように、複数の機能や高度な技術を要する大規模・高機能なアプリは、6ヶ月以上の時間を要することが多くなります。
また、開発チームのスキルや経験も期間に大きく影響します。経験豊富な開発チームは効率的に作業を進めることができる一方、新しい技術や未知の問題に対して時間がかかる場合もあるので、あくまでもここでの期間は目安となるでしょう。
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タブレット向けのアプリ開発の流れ
タブレット向けアプリ開発は、ユーザーが大画面での操作感を楽しめるよう、特定のアプローチと注意が必要です。モバイルデバイスとは異なる操作性やユーザーの期待に応えるため、以下のステップを検討することが推奨されます。
一般的な流れ
タブレット向けアプリの開発は、以下の基本的な流れを取ることが多いです。
要件定義
アプリの目的やビジョンを明確にし、必要な機能や対象となるユーザーの属性を詳細に洗い出します。この段階で、どのような技術やツールを利用するかの検討も行います。
デザイン
UI/UXデザインを行う際には、タブレットの大画面を活かし、ユーザーが直感的に操作できるようなデザインの制定が重要です。モックアップやプロトタイピングツールを使用して、事前に動作確認を行うことも一般的です。
開発
選定した開発言語やツールを使用してコーディングを行います。このとき、コードの品質やパフォーマンスの最適化も同時に進めることが求められることが多いです。
テスト
アプリが正しく動作するか、バグや問題点がないか確認するため、実際のタブレットデバイスやエミュレータでのテストを繰り返し実施します。また、ユーザーテストを行い、実際の利用シーンでの操作感や使用感を評価します。
リリース
アプリの完成後、アプリストアへの公開を行う段階です。リリースに際しては、適切なマーケティング戦略やプロモーション活動も重要です。
ウォーターフォール
ウォーターフォール方式は、各フェーズが1つずつ完了した後に次のフェーズに移行する線形的な開発方法です。この方法は変更が少なく、最初に全体の計画を明確にしたい場合に向いています。しかし、変更が頻繁に生じる場合や新しい要求が途中で追加される場合、柔軟に対応するのが難しい側面があります。
アジャイル
アジャイル方式は、小さな機能やタスクごとに短期間で開発を進める手法です。スプリントと呼ばれる短期間のサイクルで、開発、テスト、レビューを行い、ユーザーやステークホルダーからのフィードバックを即座に取り入れます。これにより、市場の変化やユーザーの要求に迅速に対応し、継続的に価値を提供することが可能です。
タブレット向けのアプリ開発で利用できる言語
タブレット向けアプリの開発では、ターゲットとするプラットフォームやアプリの具体的な要求、開発者の経験や技術的な好みに合わせて、最適なプログラミング言語を選択する必要があります。以下では、iOS、Android、およびクロスプラットフォーム向けの主要なプログラミング言語について、さらに詳しく説明します。
iOS向け
AppleのiOSデバイス、特にタブレットであるiPadは、アプリ市場で大きなシェアを持っているデバイスです。アプリをこのプラットフォーム向けに開発する際、SwiftとObjective-Cが主流となっています。
Swift
SwiftはAppleが2014年に公開した比較的新しいプログラミング言語です。Appleが推奨する現代のプログラミング言語として、iOSだけでなくmacOS、watchOS、tvOSの各プラットフォームにも対応しています。Swiftの最大の魅力は安全性です。例えば、未初期化の変数の使用や配列の範囲外アクセスを防ぐ設計がなされています。
また、メモリ管理の自動化や簡潔で明瞭な文法が採用されており、バグを少なくしやすいコードを書くことが可能です。Swiftの「Playgrounds」は、特に初心者にとって有益なツールで、コードの変更をリアルタイムで確認しながら学習や試行を進行できます。
Objective-C
Objective-Cは、1980年代から使用されてきた歴史的なプログラミング言語で、iOSおよびmacOSの初期のアプリ開発において中心的な役割を果たしてきました。C言語を基盤としながら、Smalltalkからインスパイアを受けたオブジェクト指向機能を取り入れており、その特性上、メッセージ送信の概念などが独特です。
Swiftの登場以前は、Appleのエコシステム内での主要な開発言語として広く用いられていました。現在でも、多数の既存ライブラリやフレームワークがObjective-Cで書かれており、既存の大規模プロジェクトでの更新やメンテナンスの際には、Objective-Cの知識が求められることもあります。
Android向け
Androidデバイスの多様性と普及率を考慮すると、アプリ開発者にとって無視できないプラットフォームです。JavaとKotlinは、Androidアプリ開発の主力となっています。
Java
Javaは、Android開発のスタート時から主要な言語として利用されてきました。オブジェクト指向プログラミングの特性を活かし、非常に堅固でスケーラブルなアプリケーションを構築できます。
また、Javaの歴史と豊富なコミュニティの支援により、多種多様なライブラリやフレームワーク、教育資料が提供されており、これが多くの開発者にとっての魅力となっています。大規模なプロジェクトや複雑な機能を要求されるアプリでも、Javaを用いれば確実に実装を進めることができるでしょう。
Kotlin
近年のAndroid開発において、Kotlinはその存在感を強めています。特に2017年にGoogleがKotlinをAndroidの公式開発言語として推奨したことから、その利用者は急増しました。KotlinはJavaとの完全な互換性を誇りながら、より簡潔で直感的なコード記述が可能です。Null安全性により、Null参照の問題を大幅に削減し、ランタイムエラーのリスクを低減できます。
また、拡張関数の導入により、既存のクラスに新たな機能を追加することなく、そのクラスを拡張することができるため、柔軟で効率的なコーディングが実現できました。これらの特徴は、開発者の生産性向上だけでなく、アプリケーションの安定性やメンテナンス性の向上にも大いに貢献しています。
複数の環境向け
1つのコードベースで複数のプラットフォームに対応したアプリを開発する際には、以下のような言語やフレームワークが利用されます。
JavaScript/TypeScript
JavaScriptは、ウェブページの動的な振る舞いを制御するためのスクリプト言語として生まれました。その可能性はウェブの枠を超えて拡大しています。クロスプラットフォーム開発ツールとしてのReact NativeやCordovaでは、JavaScriptを核としてアプリのロジックを記述します。
一方、TypeScriptはJavaScriptのスーパーセットであり、型情報を持つことができるため、バグを早期に検出できるという点がメリットです。これにより、大規模なプロジェクトやチーム開発での信頼性が高まります。また、エディターやIDEのサポートも充実しており、リファクタリングや自動補完がより効率的に行えます。
C#
C# (シーシャープ)は、Microsoftが.NETフレームワークのために開発したオブジェクト指向プログラミング言語です。その柔軟性と高い生産性から、業務アプリケーションからゲーム開発まで幅広く使用されています。
特に、Unityエンジンを使用したゲーム開発においては、C#が中心的な役割を果たしています。UnityとC#の組み合わせにより、一度の開発でiOS、Android、Windowsなど、複数のプラットフォームに簡単にデプロイできるのが大きな特徴です。C#は、豊富なライブラリと一貫性のある文法を持ち合わせているため、初心者から上級者まで、多くの開発者に支持されています。
タブレット向けのアプリ開発で利用できるツール
タブレット向けのアプリ開発には、特定のツールやフレームワークが要求される場合があります。これらのツールは、開発の効率化や最適化を目的として提供されており、プラットフォームや目的に応じて適切な選択が必要です。
iOS向け
iOS向けのアプリ開発は、Appleが提供する専用のツールやライブラリを使用することが前提です。iOSデバイスのハードウェアとの最適な連携を実現するため、これらのツールは特定の性能向上や安定性を追求して設計されています。
また、Appleはデバイスのセキュリティやユーザー体験に非常にこだわっているため、それに適したアプリを作成することが求められます。
Xcode
XcodeはAppleが提供するiOSアプリ開発のための統合開発環境(IDE)です。MacOS上でのみ動作し、iOSだけでなくmacOS、watchOS、tvOS向けのアプリも開発可能です。SwiftやObjective-Cのコードエディタは高機能であり、シンタックスハイライト、コード補完、リファクタリングなどの機能がサポートされています。
Interface BuilderやStoryboardを利用すれば、ドラッグ&ドロップでのUI設計が実現し、デバイスごとの異なるスクリーンサイズや向きへのレスポンシブデザインも容易に設定可能です。Xcodeには高度なプロファイリングツールも内蔵されており、アプリのパフォーマンス最適化をサポートします。App Storeへの公開プロセスもXcodeを通じて行い、アプリの署名、プロビジョニング、ビルドの管理が集約されています。
Android向け
Android向けの開発は、異なるハードウェアやOSバージョンへの対応が特徴的です。これはAndroidがオープンソースの特性を持ち、多くのメーカーからさまざまなデバイスがリリースされているためです。この多様性は開発者にとってはチャンスでありながら、同時にテストや最適化の難しさとしても現れます。
Android Studio
Android StudioはGoogleが提供するAndroidアプリの開発に特化したIDEです。JavaやKotlinといった主要なプログラミング言語をサポートしており、高機能なコードエディタが搭載されています。ビジュアルなレイアウトエディタを利用すれば、さまざまなデバイスや画面解像度での表示確認や編集が行え、アニメーションや遷移も視覚的にデザインできます。内蔵されているエミュレータは高速で、多種多様なデバイスやOSバージョンを模倣してのテストが可能です。
また、Android Studioは豊富なプラグインをサポートしており、個別のニーズや拡張性に対しても非常に柔軟に対応します。
複数の環境向け
1つのコードベースから、複数のプラットフォームに対応したアプリを生成するためのツールやフレームワークも人気があります。
React Native
React NativeはFacebookが開発したフレームワークであり、JavaScript/TypeScriptを活用して、ネイティブアプリに匹敵する高いパフォーマンスを持つiOSとAndroidのアプリを効率的に開発可能です。コンポーネントベースの設計が特徴で、再利用可能なモジュールを活用することで、一度開発したコンポーネントを異なる部分やプロジェクトで利用することが容易です。
また、React Nativeの豊富なコミュニティにより、多数のプラグインやライブラリが提供されており、機能の追加やカスタマイズが効率的に行えます。
Cordova
CordovaはWeb技術を基盤としたクロスプラットフォームの開発ツールです。HTML、CSS、JavaScriptの知識だけで、モバイルアプリを開発できます。特筆すべき点は、ネイティブライブラリを使用することで各プラットフォームの固有の機能、例えばカメラやジャイロセンサーにアクセスすることができる点です。これにより、Web技術を基にしながらもネイティブに近い体験を提供するアプリケーションの制作が可能です。
Unity
Unityは、主にゲーム開発の場面でその力を発揮するエンジンですが、それだけでなく、ビジュアルリッチな3Dや2Dの一般的なアプリケーション開発にも対応しています。C#を使用することで、直感的なコーディングが可能となり、幅広いプラットフォームへの対応が実現されています。特に、Unityのアセットストアは、多岐にわたるプリセットやツールが提供されており、これを活用することで初心者から上級者まで、開発の質とスピードを向上させることが可能です。
タブレット向けのアプリ開発で重要な点
タブレットの画面サイズや解像度を最大限に生かすデザインは、ユーザー体験の中心に位置します。タブレットの大きな画面は、詳細なグラフィックや複雑な情報の表示に適しています。しかし、その大きさを有効に利用するためには、タッチ操作の応答性や画面のレイアウトなど、さまざまなデザインの要因の考慮が必要です。
また、多様なデバイスでの動作確認は、AndroidやiOSなどの異なるOSや異なるメーカー、モデルごとの微妙な違いを考慮する必要があります。一部のデバイスでは動作が遅くなったり、表示が崩れたりする可能性があるため、これらの確認は必須です。
さらに、ユーザーインターフェースの最適化は、タブレットの使用シーンや持ち方に合わせて、ボタンの配置やフォントサイズを調整するなど、細やかな設計が求められます。スマートフォンとは異なる特有の課題を理解し、これらのポイントを念頭に置くことで、使いやすく、魅力的なアプリを開発できます。
作りたいアプリを明確にする
タブレット向けアプリの開発初期に、そのアプリの目的や目標を明確にしておくことは非常に重要です。例えば、教育用アプリの場合、タブレットの大きな画面を利用して、子供たちにとって魅力的でわかりやすいコンテンツを提供することが目標となるかもしれません。
一方で、ビジネス用アプリの場合、効率的な業務処理やデータの表示・分析が重要となるでしょう。ユーザーが求める価値をしっかりと把握し、それを提供するための機能やデザインを検討することで、開発の方向性を明確にできます。
保守運用のコストがどれだけかかるかを意識する
アプリのリリース後は、新しいOSのアップデートやデバイスの出現、ユーザーからのフィードバックなど、継続的に対応が必要です。これらの対応には、開発リソースやテストリソース、そして時間が必要となり、経済的なコストが発生します。
リリース前に、これらの継続的なコストを見越して、長期的な保守・運用計画を立てることで、スムーズなアプリの運営が期待できるでしょう。
タブレットのアプリ開発は目的が大切
以上、タブレット向けのアプリ開発に関して「費用の相場」「必要な期間」「開発の流れ」「使用する言語やツール」「注意点」などそれぞれ詳しく解説しました。
OSの種類によってツールや言語によっても、開発者に求められる知識や技術も異なるので、求める種類のタブレットのアプリ開発が得意な業者を選ぶようにしましょう。
「iOSのタブレット向けアプリの開発が得意な業者を見つけたい」
「どの言語が最適なのか判断ができない」
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この記事を書いた人
編集部員 濵岸
編集部員の濵岸と申します。コンテンツ作成と取材を主に担当しております。身長が低いため学生時代は「お豆」と呼ばれていました!豆らしく、皆様の役に立つ記事を「マメに豆知識を!」の意識で作成します!どうぞよろしくお願いいたします!