最近話題のブロックチェーンを利用したアプリ開発とは?
公開日:2023.11.17 最終更新日:2024.04.19
最近、ブロックチェーンを利用したアプリ開発が話題となっています。しかし、比較的新しい技術であるため、具体的にはどのようなものか把握しきれていない方もいるでしょう。
そこで本記事では、ブロックチェーンについて解説したうえで、ブロックチェーンアプリの概要やメリット、ブロックチェーンアプリ開発の課題や活用例などを紹介します。
ブロックチェーンアプリ開発に興味がある方にとって有益な情報をまとめているため、ぜひご一読ください。
ブロックチェーンとは?
ブロックチェーンとは、「ブロック(暗号化された取引履歴)」を「1本のチェーン状(鎖のように)」つないで、データを管理する技術のことです。
ブロックチェーンの定義は、総務省や各企業、各機関によって少し異なりますが、一般的には以下の3つの条件がそろっていることは共通しているといえるでしょう。
- データは暗号化されている
- 仮想通貨の基礎技術として活用されている
- 複数の端末が直接的に接続されている
「ブロックチェーン=仮想通貨」というわけではありませんが、ビットコインといった仮想通貨に用いられる基盤技術であることはたしかです。
ブロックチェーンの特徴
ブロックチェーンの特徴は、以下の3つです。
- データの改ざんが極めて困難
- 分散性が高いため中央管理者を必要としない
- 障害によるシステムダウンが極めて起こりにくい
まず、ブロックチェーンの特徴として、データの改ざんが極めて困難ということが挙げられます。
冒頭でもお伝えしたとおり、ブロックチェーンは、「ブロック(暗号化された取引履歴)」を「1本のチェーン状(鎖のように)」つないで、データを管理しており、1つ前のデータを要約したうえで一定量のデータがまとめて記録されています。
仮に、データの改ざんをおこなった場合、前後のブロックとの整合性を保てないため、データの改ざんは極めて困難です。その結果、信頼性の高いデータのやり取りができるといえます。
次に、ブロックチェーンの特徴として、分散性が高いため中央管理者を必要としないということが挙げられます。
ブロックチェーンは、複数の端末が直接的に接続し合っているため、中央管理者が不要です。
なお、多くのブロックチェーンでは各端末同士を接続する方法として「P2P方式」を採用しています。P2P方式では、上位・下位の概念が存在せず、端末同士が対等な通信であるため、通信が特定のコンピューターに集中しません。
これまでのデータ管理方法は、どうしても中央管理者が必要で、管理する組織にデータ権限が集中する傾向がありました。
続いて、これらに関連する特徴として、障害によるシステムダウンが極めて起こりにくいというものが挙げられます。
たとえば、サーバーを用いてデータのやり取りをしている場合、サーバーにトラブルが発生すると、システムダウンが起きてしまいます。
対して、ブロックチェーンでは複数の端末が接続し合っているため、1つあるいは2つの端末にトラブルが発生しても、システム全体に及ぼす影響は小さいといえるでしょう。
ブロックチェーンの仕組み
ブロックチェーンは、暗号技術によって過去から1本の鎖のようにつなげるかたちで記録されている仕組みになっています。
1つのブロックは、取引履歴の集合体と、各ブロックを接続させるための情報(前のブロックの情報など)で構成されます。
ブロックチェーン化された取引履歴は、複数の端末がそれぞれ情報を保有し、常に同期を取る分散型台帳という仕組みで管理されています。
ブロックチェーンの進化の歴史
ブロックチェーンの進化の歴史は、2008年に「サトシ・ナカモト」という名前を使った組織あるいは人物が発表したビットコインの概念から始まります。
その後、2011年あたりからビットコイン以外のアプリケーションでもブロックチェーンが利用されます。
さらに、Ethereumがリリースされてスマートコントラクトが可能になったり、オープンソースのHyperledgerプロジェクトがLinux財団によって立ち上げられたりします。
2019年あたりからは、企業がブロックチェーンを活用する実用的なアプリケーションを開発開始。2020年以降は、ブロックチェーンを応用したデジタル通貨やNFTが注目を集めています。
デジタル通貨といえば、仮想通貨だけでなく、現金ではない電子マネーも当てはまります。みなさんが日頃から使っているPayPayも、ブロックチェーンの歴史の1つに刻まれているわけです。
ブロックチェーンアプリとは
ブロックチェーンについての情報をお伝えしたところで、続いてブロックチェーンアプリについて詳しく解説します。
ブロックチェーンアプリとは、その名の通り、ブロックチェーンの技術を使用したアプリケーションのこと。具体的な種類や公開範囲を紹介します。
3種類のアプリ
ブロックチェーンアプリの種類は、以下の3つに分けられます。
- Webアプリ
- スマホアプリ
- PCアプリ
Webアプリは、Webブラウザから利用するアプリのことで、Webブラウザさえあれば、スマホやタブレット、パソコンなど、さまざまなデバイスから利用可能です。
スマホアプリは、スマホにインストールするタイプのアプリで、PCアプリは、パソコンにインストールするタイプのアプリです。
公開範囲
ブロックチェーンアプリの公開範囲は、大きく以下の3つに分けられます。
- パブリック(一般公開)
- コンソーシアム(共同体内)
- プライベート(1つの組織内)
パブリック(一般公開)は、世界中の誰でも参加できて、取引履歴を閲覧あるいは追加できます。
コンソーシアム(共同体内)は、共同体に所属する複数の企業だけが参加できて、そのメンバーだけが取引履歴を利用できます。
プライベート(1つの組織内)は、企業や機関など1つの組織だけが参加できて、その組織に許可されたメンバーだけが取引履歴を利用できます。
ブロックチェーンアプリ開発に必要なもの
ブロックチェーンアプリ開発に必要なものは、3つあります。それぞれについて詳しく解説しましょう。
開発言語
当然のことながら開発言語が必要です。dApps(Decentralized Applications)開発でよく使われる言語に「Solidity(ソリディティ)」があります。
まず、dAppsとは、ブロックチェーン上でスマートコントラクトを応用して開発される分散型アプリケーションのことです。単一のコンピューター上ではなく、P2P方式のネットワーク上に存在して実行されるアプリケーション。
その言語に、Solidityが使われることが多くなっています。Solidityは、dAppsのスマートコントラクトを記述するための開発言語で、Ethereum(イーサリアム)というプラットフォーム上で実行することができます。
C++の構文に似ているため、プログラミング経験があればとっつきやすいかもしれません。
プラットフォーム
また、プラットフォームが必要です。代表的なプラットフォームは以下の4つです。
- Ethereum(イーサリアム)
- Quorum(クオラム)
- Corda(コルダ)
- Hyperledger Fabric(ハイパーレッジャーファブリック)
ブロックチェーン用のプラットフォームを利用することで開発期間を短縮可能です。
上記はすべてオープンソースで利用できますが、処理速度や公開範囲などアプリの要件に合わせて最適なプラットフォームを選ぶとよいでしょう。
関連記事:アプリ開発のプラットフォームおすすめ7選!選び方のポイントも解説
フレームワーク
効率的な開発をおこなうためにフレームワーク(開発のひな型)が利用されることがあり、それはWebアプリとスマホアプリそれぞれで代表的なものが異なります。
Webアプリの代表的なフレームワークは、以下の通りです。
- Ruby on Rails(ルビーオンレイルズ)
- Laravel(ララベル)
- Django(ジャンゴ)
スマホアプリの代表的なフレームワークは、以下の通りです。
- Flutter(フラッター)
- React Native(リアクトネイティブ)
- Apache Cordova(アパッチコルドバ)
関連記事:Pythonでアプリ開発!事例やフレームワークを解説
ブロックチェーンアプリのメリット
ブロックチェーンアプリには4つのメリットがあります。ブロックチェーンの特徴と重なるところもありますが、改めて詳しく解説します。
透明性向上
まず、透明性向上がメリットとして挙げられます。
ブロックチェーンの特徴でも取り上げましたが、データの改ざんが極めて困難なため、正当性や透明性、信頼性などに長けています。
不正リスクの低減
ブロックチェーン上の取引履歴は後から変更を加えることができません。そのため、不正をおこなうリスクを極めて抑えることができます。
たとえば、食品や飲料などの流通過程をブロックチェーン上に記録すると、生産から販売までの経路を正確に追跡でき、かつ、不正をおこなうのが困難なため、安心安全な食事を楽しむことができるでしょう。
時短と効率化
ブロックチェーンアプリを使うと、時短と効率化になります。
仮に、 紙の帳簿やExcel、スプレッドシートなどを使ってほぼ手動で管理しているのであれば、人的ミスが起こりやすく、リスクがあるといえるでしょう。
対して、ブロックチェーンアプリを使えば、これらの作業がすべて自動化されてシンプルになり、時短や効率化を図れます。
さらに、ワークフローのボトルネックが解消できるうえに、メンバー全員が常に最新データに基づいて作業できるようになります。
コスト削減
ブロックチェーンアプリの使用で、時間や費用などのコストを削減することもできます。
たとえば、契約ひとつとってみても、紙で手動でおこなうとミスが発生する恐れがあるだけでなく、多くの人件費がかかります。
その点、ブロックチェーンアプリを使えば、すべての契約が自動化されるため、大幅なコスト削減が期待できます。また、取引履歴の確認作業に多くの時間を費やす必要がありません。より効率的に働くことができるでしょう。
ブロックチェーン開発の課題
しかし、ブロックチェーン開発の課題もあります。メリットだけでなく、課題を把握することも重要ですので、詳しく解説します。
ブロックチェーンを用いたやり取りは時間がかかる
ブロックチェーンは、分散型システムです。分散型システムとは、複数の端末をネットワークで接続し、複数のコンピューターが連携して1つの作業を分担するシステムのこと。
1つの作業を完了させるまでに複数の承認プロセスが必要になるため、やり取りに時間がかかります。
ブロックチェーン開発の際は、プロセスを高速化するソリューションを考えなければいけません。
スケーラビリティに問題がある
また、スケーラビリティに問題があることも考えられます。
スケーラビリティとは、拡張性という意味で、システムやネットワークなどが、規模や利用負荷などの増大に対応できる度合いのこと。
ブロックサイズが大きくなると、処理速度が低下するため、何かしらの対策が必要です。
将来的にセキュリティが危うくなる可能性がある
セキュリティに対する不安もあります。ブロックチェーンは安全な技術として認識されていますが、サイバー犯罪者の標的にもなってしまっています。
過去には、インフラの既知の脆弱性を狙って攻撃されたこともあります。
開発エンジニアが少ない
また、ブロックチェーンは、比較的新しい技術のため、まだまだ開発エンジニアは少ないのが現状です。
もし、ブロックチェーン開発をおこなえるエンジニアがいたら、貴重な存在だと考えるとよいでしょう。
ブロックチェーンアプリ開発の活用例
続いて、ブロックチェーンアプリ開発の活用例を紹介します。
金融業界
金融業界では「DeFi(Decentralized Finance:分散型金融)」が普及し始めています。
ブロックチェーンを基盤にした、銀行などの管理者を介さない金融サービスのことで、仲介料がかからず、ユーザー同士が直接取引をおこなえます。
ヘルスケア業界
ブロックチェーンは、患者の健康データの分析や医療機器のセキュリティ、電子カルテなどにおいて活用が試みられています。
また、臨床試験の効率化や医薬品の偽造減少や、新たな治療法の承認に向けた手続きの簡略化などにも期待が寄せられています。
不動産業界
不動産業界では、散在している家賃や築年数などの不動産情報をまとめて共有するのにブロックチェーンが役立つとされています。
ブロックチェーンアプリ上で不動産ポータルサイトで管理することで、データの正当性や透明性、信頼性を確保できるでしょう。
個人でブロックチェーンアプリ開発を実践できる?
最後に、個人でのブロックチェーンアプリ開発について解説します。
個人でも開発者になれる
前述した、アプリ開発に必要な3つのもの、開発言語・プラットフォーム・フレームワークがそろえば、個人で開発することが可能です。
基本的には、以下の手順を踏むことになります。
- 企画を立案する
- スマートコントラクトを書く(ブログラムを作成する)
- フロントエンドを作成する(サイトのデザインを決めてボタンなどを配置する)
- 作成したスマートコントラクトを呼び出す
- バグを直す
個人でブロックチェーンアプリ開発をおこなう際の注意点
個人でアプリ開発をおこなう際は、以下のポイントに注意しましょう。
- ブロックチェーン自体を開発しようとしない
- 法律を違反しない
ブロックチェーンアプリ開発は個人で可能ですが、ブロックチェーン自体の開発は非常に難しいため、避けたほうがよいでしょう。
また、当然のことながら法律は遵守してください。仮想通貨交換業免許がない状態で仮想通貨を販売するのは法律違反です。
ブロックチェーンアプリ開発を活用しよう
本記事では、ブロックチェーンについて解説したうえで、ブロックチェーンアプリの概要やメリット、ブロックチェーンアプリ開発の課題や活用例などを紹介しました。
記事内でも触れたとおり、ブロックチェーンアプリ開発ができるエンジニアはまだ多くありませんので、「EMEAO!」サービスを利用して積極的に探してみてください。
ブロックチェーンアプリ開発を得意とする会社をスピーディーに見つけられるでしょう。
この記事を書いた人
編集部員 濵岸
編集部員の濵岸と申します。コンテンツ作成と取材を主に担当しております。身長が低いため学生時代は「お豆」と呼ばれていました!豆らしく、皆様の役に立つ記事を「マメに豆知識を!」の意識で作成します!どうぞよろしくお願いいたします!