アプリ開発の設計手順とは?重要性と押さえておきたい基礎知識
公開日:2023.11.20 最終更新日:2024.08.23
アプリ開発をスムーズに進めるためには、設計手順について理解しなければなりません。
要件定義から設計を経て、開発、テスト、リリースと各フェーズにおける重要ポイントを押さえておくことが大切です。
そこで本記事では、アプリ開発の設計手順や設計書の項目、押さえておきたい基礎知識について解説します。
アプリ開発の設計手順が分からない方は、ぜひ参考にしてください。
アプリ開発の設計手順
アプリ開発の設計手順は、以下の通りです。
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
- 開発
- テスト
- リリース
それぞれの設計手順について解説します。
手順①:要件定義
スマホアプリやWebアプリの開発は、要件定義から始まります。
要件定義はプロジェクトの基盤となるステップで、アプリの具体的な機能や目標を明確に定義するフェーズです。
アプリ開発者は、ユーザーニーズやビジネス要件をヒアリングして、それを具現化するための基本的なガイドラインを策定します。
実際の開発フェーズに入る前に機能要件・非機能要件・制約事項などを明示することで、プロジェクトのスコープや方向性を決定づけます。
明確な要件定義ができると、開発チーム全体の共通理解につながり、効率的かつ円滑な開発プロセスが実現するでしょう。
開発フェーズでの仕様変更や認識齟齬を最小限に抑え、プロジェクトを成功に導くために重要なステップです。
手順②:基本設計
アプリ開発の基本設計では、要件定義をもとにしてシステムの基本的な構造や機能を詳細に計画します。
システムの構造やデータベースの設計、モジュール間のインターフェースなどが具体化されるフェーズです。
開発者はシステムの構造や動作を理解しやすくするために、UML(Unified Modeling Language)などのモデリングツールを使用するのが一般的です。
基本設計は、後続の詳細設計や実装に向けての指針となり、チーム内でのコミュニケーションを円滑に進める役割も果たします。
基本設計では、アプリの性能やセキュリティの観点からも検証が行われ、問題が見つかると修正を加えます。
基本設計の段階で十分な計画と検討をすることで、これ以降の開発ステップをより効率的に進められるでしょう。
手順③:詳細設計
アプリ開発の詳細設計は、基本設計で定義された仕様をもとに、具体的なコードやモジュールの実装に向けての詳細な計画を策定するフェーズです。
プログラミング言語やフレームワークの選定、アルゴリズムの具体的な実装方法、関数の定義などが詳細に定められます。
詳細設計の段階では、アプリ開発者が具体的なコーディングに取りかかる前に、全体的な構造や機能が細部まで確定されます。
一度、詳細設計が完了すると、開発プロセスの途中での変更が難しくなるため、慎重に行わなければなりません。
具体的な構造や機能と同時に、品質管理や保守性の向上を図るためのガイドラインも検討されます。
詳細設計にもとづくことで、一貫性のあるコードが生成され、チーム全体が効率的に開発を進められます。
手順④:開発
開発フェーズでは、詳細設計にもとづいてコードを記述し、アプリケーションを構築します。
プログラミング言語やフレームワークを使用して、さまざまな機能やモジュールを実装し、システム全体を構築する設計段階です。
開発方法には、アジャイル開発とウォーターフォール開発の2種類があります。
開発方法 | 特徴 |
アジャイル開発 | システム開発を大きなプロジェクトとして細分化し、複数サイクルを繰り返す手法。開発途中で仕様変更・機能追加などを行えるため、顧客ニーズに合わせた開発が可能。 |
ウォーターフォール開発 | 設計からコーディングへと、一定の方向性で作業を進める開発手法。工程ごとに品質を管理できるため、最終的に高品質なアウトプットが期待できる。品質の高さが求められる大規模なシステム開発や、複雑なソフトウェア開発に適している。 |
開発したいアプリの特徴に合わせて、最適な開発手法を選ぶことが大切です。
手順⑤:テスト
開発が完了したアプリケーションは、品質や正確性を確認するためのテスト段階に移ります。
リリース前にテストを行う目的は、主に次のとおりです。
- 開発コスト削減
- リスク管理
- バグ防止
- システム不具合の検証
ユニットテストでは個々のコンポーネントが正しく機能するか確認し、 統合テストでは各コンポーネントが連携して正常に動作するか検証します。
要件定義を満たしているか、バグが発生していないか、テスト段階で問題点をすべて洗い出すことが重要です。
テストの過程で発見された問題は、開発フェーズに戻って修正され、再度テストが実施されます。
手順⑥:リリース
リリース段階では、テストが完了したアプリケーションをユーザーに提供可能な状態に最適化します。
最終的な機能や品質の確認が終わり、安定したバージョンとしてリリースされるフェーズです。
アプリのリリース時には、適切なマニュアルやユーザーガイドの整備も行われます。ユーザーがアプリケーションの使い方を理解して、効果的に使用してもらうことが大切です。
また、セキュリティやパフォーマンスの向上などの最終チェックを行うのも重要なポイントです。
リリース後はユーザーからのフィードバックを収集し、必要に応じて機能の追加や修正を行います。
アプリケーションの改善を継続的に進めつつ、長期的なユーザー増加を目指します。
アプリ開発時に設計図を作ることの重要性
アプリ開発における設計図は、プロジェクトの全体像を視覚的に表現したもので、アプリ開発者や関係者に明確な指針を提供します。
チーム内の共通理解、効率的な開発の促進につながるため、アプリ開発において設計図を作ることは必要不可欠なステップといえるでしょう。
また、設計図は将来的な仕様変更やアップデートの際にも役立ちます。プロジェクトの保守性を向上させると同時に、クライアントやステークホルダーとのコミュニケーションツールとしても機能します。
アプリ開発前に緻密な設計図を描くことで、バグの発生やシステムの不具合を早期発見できるのもメリットの1つです。大規模で複雑なアプリ開発になればなるほど、設計に時間をかけることが重要になります。
アプリ開発の設計書項目テンプレート
アプリ開発の設計書項目は、主に以下のとおりです。
項目 | 概要 |
システム構成図 | アプリ全体の構成を図で示したもの |
業務フロー図 | アプリ開発に関する業務フローを図で示したもの |
テーブル定義書 | データベースのテーブルの定義を記したもの |
機能一覧 | アプリの機能を一覧にしたもの |
画面一覧 | アプリで表示される画面の一覧 |
画面遷移図 | アプリ内の画面上の動きを図にしたもの |
帳票一覧 | 出力される帳票を一覧にしたもの |
帳票レイアウト | 縦型または横型の帳票レイアウト |
上記の必要項目が伝わりやすい設計図を作れると、アプリ完成までの流れがスムーズになります。
アプリ開発プロジェクトを成功させるためにも、関係者が理解しやすい設計図を作りましょう。
アプリ開発時に押さえておきたい基礎知識
アプリ開発をする際には、いくつか押さえておきたい基礎知識があります。
- かかる費用
- 必要なもの
- かかる時間
順番に解説します。
アプリ開発にかかる費用は?
アプリ開発にかかる費用は種類や人件費、開発期間などに応じて変化します。一般的なアプリ開発の費用相場は、以下の通りです。
アプリ開発の種類 | 費用相場 |
法人向けのシンプルなアプリ開発 | 約550〜850万円 |
法人向けの標準的なアプリ開発 | 約850〜2,200万円 |
法人向けの複雑なアプリ開発 | 約4,400万円以上 |
iPhoneアプリ・Androidアプリ開発 | 約150万円 |
ソーシャルゲームアプリ開発 | 約3,000万円 |
カタログ系アプリ開発 | 約50〜200万円 |
アプリ開発の予算を検討する際は、アプリの種類ごとの費用相場も参考にしましょう。
アプリ開発には何が必要?
アプリ開発を進める際は、以下のものが必要です。
- 開発ツール
- アプリ開発費用
- 設計書
- インターネット環境
- テスト用の電子機器
- リリース時のID
開発するアプリの種類によって必要なものは異なるものの、上記6つはどのようなアプリでも必要になります。
アプリ開発には何ヶ月かかる?
アプリ開発にかかる期間は、4〜6ヶ月程度となるのが一般的です。
ただし、アプリの種類や規模、開発体制によって必要な期間は前後するため、時間的な余裕を持って開発に臨むことが大切です。
特に、ゲーム系・SNS系・通話アプリ・位置情報アプリでは、開発期間が1年以上になるケースも少なくありません。
トラブル発生時の対応も考えて、余裕のある開発スケジュールを設定しましょう。
関連記事:アプリ開発にはどれくらいの期間がかかる?アプリの種類や開発手法別に解説
まとめ:アプリ開発の設計手順を押さえよう
アプリ開発の設計手順は、要件定義・基本設計・詳細設計・開発・テスト・リリースの順番で進みます。実際の開発段階に入る前に明快な設計図を描くことで、アプリ開発の行程をスムーズに進めることができるでしょう。
アプリ開発に必要な費用は、種類や規模によって異なるため、一概にはいえません。開発にかかる時間もアプリの種類によって変わるため、余裕のあるスケジュールを組むことが大切です。
この記事を書いた人
hata