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公開日:2019.11.01 最終更新日:2025.08.29
本記事では、ISO22000とは何かといった基本的な概要や、認証を取得するメリット、取得の方法などを詳しく解説していきます。
ISO22000の取得をご検討されている事業者様はぜひ最後までご覧ください。

ISO22000は、安心・安全な食の提供に欠かせない仕組みです
ISO22000とは、「食品に関する事故を低減・防止することで食品の安全性を守る」ということを目的として定められた、食品の安全を守るための基準を示したルールのことです。
ISO22000では「要求事項」という項目で、食品の安全性を保つためには具体的にどのようなことを行えばよいのか、ということを示しています。
要求事項の内容に沿って、自社に合った「食品安全マネジメントシステム(=FSMS)」という業務用のマニュアルを作り運用していくことで、自社の食品にかかわる事業において一定の安全性を担保することができます。
対象となる業種は食品の製造工場や小売店、飲食店はもちろん、食品の梱包材を扱う会社や運送会社、農業や漁業など食品の生産から消費にかかわるすべての業種(=フードチェーン)です。
また、直接食品を扱う現場の人だけでなく、営業担当や事務員、経営者やアルバイトなどすべての人が対象です。
これは、食品を扱うどの過程でも事故のリスクは発生しうるため、どの段階でも安全管理は必要であるという考えに基づいているためです。
具体的に、たとえばどのような組織がISO22000の対象となるのかを以下にまとめました。
参照:日本規格協会グループHP“ISO 22000『食品安全マネジメントシステム-フードチェーンのあらゆる組織に対する要求事項』とは”
ISO22000認証とは、ISO2200の要求事項に基づいた食品安全マネジメントシステムを構築し、適切に運用していると認められた組織に与えられる認証です。
よりわかりやすく言い換えると、“この事業者が提供する製品・サービスでは食品管理が一定の安全基準を満たしている”ということの証明としての役割があります。
ISO22000の認証を取得するには要求事項の内容を理解し、それに沿った食品マネジメントシステムを作る必要があります。
ここからは、ISO22000の要求事項の内容を解説していきます。
ISO22000の要求事項は全10章で構成されており、食品衛生管理に関する手法であるHACCP(ハサップ)と、品質マネジメントシステムの規格であるISO9001を合わせたものになっています。
1~3章ではISO22000自体に関する情報が解説されており、実際にマネジメントシステムを構築する際に参照するのは4~10章の内容です。
ここでは、ISO22000の要求事項における4~10章の内容について解説します。
「組織の状況」という項目では、まず組織の内部・外部の状況を理解したうえで解決すべき課題を整理することが求められています。
ここでいう利害関係者とは、自社の顧客や従業員、協力会社や近隣住民などさまざまな人が該当します。
しかし、すべての利害関係者を明確にすることを求められているわけではありません。
あくまで食品の安全管理に大きく関与する利害関係者を明確にしたうえでその関係者と自社の間での課題を洗い出し、その課題を解決するマネジメントシステムを構築することが最終的な目標です。
「リーダーシップ」の項目では、食品の安全を担保するうえでトップマネジメント(経営層)がすべきことが解説されています。
食品安全マネジメントシステムを適切に運用し、実行・改善を重ねるにはトップマネジメントの責任が重要であるためです。
具体的には、食品の安全性を守る意思を「食品安全方針」で示すこと、また組織内の権限や役割を明確にして把握することが求められています。

マネジメントシステムの運用に必須のPDCAサイクルの仕組み
「計画」とは、計画・実行・評価・改善を繰り返すことで継続的に業務の改善をはかる“PDCAサイクル”のP(Plan)に該当する部分です。
食品の安全管理において予期しないリスクや機会に出会った際に、組織がどのように対処するかをあらかじめ計画しておく、ということが記されています。
「支援」の項目では、食品の安全性を管理する場において従業員のサポートが必要であることが表記されています。
具体的には、人材や知識、現場環境といった「資源」や適切なコミュニケーションの確立など、従業員が正確に食品安全マネジメントシステムを運用していくために必要な体制を整える、という内容です。
「運用」はPDCAサイクルのD(Do)に該当する部分です。
食品の安全を守るために行うべき具体的な手順として、国際的な食品の安全管理の手法である「HACCP」の内容と、HACCPを支える「前提条件プログラム」の内容がそれぞれ含まれています。
「パフォーマンス評価」はPDCAサイクルのC(Check)にあたります。
食品の安全を守るという観点から見て、業務の各プロセスに問題がなかったかどうかを評価をする指標を決めて、その評価に問題があれば改善を行う、という内容です。
「改善」はPDCAサイクルのA(Action)に該当します。
「パフォーマンス評価」で定められた内容に基づいて評価を行った際、問題があればどのように改善するのかを決めておくことが求められています。
「改善」の対象は不適切な商品やサービスがあった場合はもちろん、周囲の状況が変化して今までとはマネジメントシステムの運用の勝手が変わった場合も含まれます。
食品安全管理の場では、ISO22000の他にもHACCPやFSSC22000という言葉を聞く機会があります。
それぞれISO22000とどのように違うのかを解説します。
ISO22000と同様に、食品の安全管理においてよく聞く言葉として「HACCP」(ハサップ)があります。
HACCPとは、食品製造の各工程で異物混入や微生物による汚染のリスクが発生する要因を分析・特定し、その要因を監視することでリスクを回避し食品の安全性を担保できるという管理の手法のことです。
ISO22000とHACCPの違いは、それぞれの目的・役割と対象となる業種の範囲にあります。
ISO22000は食品に関連したあらゆる業種を対象としており、食品による危害を防ぐための“仕組みを作るための規格”です。
対し、HACCPは食品製造業のみを対象としており、製造過程で異物混入などを防ぐための“方法”です。
また、ISO22000にはHACCPの内容も含まれているという特徴もあります。
ISO22000とよく似た国際規格として「FSSC22000」というものもあります。
FSSC22000とは、ISO22000にさらに別途要求事項を追加した食品安全に関する規格です。
具体的には、ISO22000よりも厳密に前提条件プログラムが設定されており、アレルゲンの管理や製品情報のラベルの内容など細かな内容が要求されています。
ISO22000とFSSC22000との違いは、FSSC22000のほうがより厳密な内容が定められており、規模の大きい企業での運用が想定されているというところにあります。

では、ISO22000認証を取得すると、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここからは、事業者様にとっての3つのメリットをご紹介します。
そもそもISO22000の最大の目的は、マネジメントシステムの適切な運用によって食品の安全性を管理することです。
ISO22000認証を取得し、マネジメントシステムを確実に運用していくことで、自社の扱う範囲における食品の安全性が改善されるでしょう。
ISO22000を適切に運用していくことで食品および関連事業の一定の安全性を担保できます。これにより、消費者や取引先からのイメージの向上が期待できます。
特に取引先においては、ISO22000を取得していることが信頼につながり、今後も長い関係を築いていけるという可能性があります。
企業によっては、取引相手にISO認証を取得していることを必須条件として求めている場合があります。
特に海外の企業は取引要件として提示しているケースが多く、ISO22000を取得することで、国内のみならず海外まで取引の可能性を拡大することができます。
ISO22000認証の取得に必要な費用は、コンサルティング会社の利用料金と審査費用の2つに分けられます。
コンサルティング会社の料金はサポートの内容や自社の従業員数等によっても変動しますが、最低でも50~60万円ほどかかります。
審査費用は「審査に必要な人数×審査日数」によって算出されます。
従業員数が多いほど審査に必要な人数や日数は増えるため、具体的な審査費用は企業の規模によって異なります。
目安として、従業員が20~30人の企業であれば、50万円ほどが相場です。
つまり、ISO22000認証の取得には、最低でもざっくりと100万円程度の費用が必要ということです。
具体的な費用の内訳や安く抑える方法など、より詳しい情報についてはこちらのISO認証の取得にかかる費用の相場についての解説記事をご覧ください。
ISO22000認証の取得を目指す組織は、まずISO22000の定める「要求事項」をもとに、食品の安全を守るためのマネジメントシステムを構築する必要があります。
次に、そのマネジメントシステムを実際に運用し、継続的な改善と最適化を繰り返す(=PDCAサイクルを回す)ことで業務改善をはかります。
そしてISO認証機関によるマネジメントシステムおよび現場環境の審査を受け、基準を満たしていると認められた際に、認証が付与されます。
まずはISO22000認証の取得に向けたプロジェクトメンバーを社内から集めます。
目安としては、各部署の課長クラスの社員を集めるとよいでしょう。
また、マネジメントシステムの構築には専門知識が必要ですので、独学で1から行うのはあまり現実的ではありません。
社内だけで完結せずに、ISO認証の取得に精通したプロに取得のサポートを依頼するのが一般的です。
事前にISO22000認証の取得のサポートを行っているコンサルティング会社に支援を依頼し、プロジェクトスタート時には担当コンサルタントを同席させましょう。
社内の現状の課題を明確にし、ISO22000の要求事項を参考にしながら自社に合ったマネジメントシステムを構築します。
具体的には、食品の安全を守るために必要な業務のマニュアルを作成し、今後守っていく必要のあるルールを文書化します。
マネジメントシステムの運用、つまり作成したマニュアルやルールを実際に現場で稼働させます。
マネジメントシステムは実際に運用して効果を検証し、改善を重ねることで初めて成立するため、一定の期間が経ったら「内部監査」というものを行い、問題なくマネジメントシステムが運用できているかを確認します。
内部監査は、自社内の責任者が担当します。
このとき、必ず他部署の担当者が内部監査を行うように注意しましょう。
内部監査の結果、改善の余地があった場合は適宜マネジメントシステムの内容を更新していきます。
ISO22000認証を取得するには、「ファーストステージ審査」と「セカンドステージ審査」という2つの審査を受ける必要があります。
ファーストステージ審査は文書審査とも呼ばれており、主にマニュアルや手順書などの文書がISO22000の要求事項に沿って構築されているかを確認されます。
ファーストステージ審査が終わってから最短で1ヶ月、最長で6ヶ月後に行われるセカンドステージ審査では、ファーストステージ審査で提出した文書をもとに、実際にマネジメントシステムが正しく運用されているかどうかを見極める現地審査が行われます。
2つの審査を通過すると、登録証が発行されます。
ISO22000認証の有効期限は3年です。
ただし、3年間審査がないわけではなく、認証取得から1年後には第1回定期審査、2年後には第2回定期審査を受ける必要があるので注意しましょう。
3年後に認証の更新を行う場合は更新審査を実施し、審査を通過すると新たな登録証が発行されます。

以上、ISO22000とはそもそも何かといった基本的な概要や認証取得のメリット、具体的な取得の方法まで詳しく解説いたしました。
ISO22000とは食の安全を守る仕組みを作るための国際的なルールであり、そのルールを守っていることの証明である認証を取得・運用することによって商品・サービスの品質改善やブランドイメージの向上などのさまざまなメリットが得られます。
しかしISO22000の認証を取得するには、少なくない手間や費用がかかります。
ISO22000認証の取得をご検討されている場合は、一度ISO認証取得を支援しているコンサルティング会社へご相談されることをおすすめします。
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現在は、お客さま対応を担う。年間実績として、120社を超えるクライアントのSEOコンサルを担当。
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