Pythonとはどんな言語?アプリ開発に利用する際の手順も解説
公開日:2023.11.16 最終更新日:2024.04.18
アプリ開発を行う際の最初のステップは、使用するプログラミング言語を決めることです。
汎用性の高い言語である「Python」は選択肢のひとつになるでしょう。本記事ではPythonの特徴を紹介しながら、アプリ開発に利用する時の流れや方法を解説します。
そもそもPythonとは?
Pythonは汎用性や拡張性に優れた人気の高いプログラミング言語のひとつです。
利用例としては、WEBデザイン、アプリ開発、インフラ用のシステムなど、私たちが日常的に使用するIT製品の開発の他に、現在注目を集めている「AI」や、仮想通貨の利用で知られる「ブロックチェーン」などの最新技術への活用も挙げられます。
Pythonがおすすめの理由
Pythonは、プログラミング言語の人気度を調査する「TIOBE Index」のランキングで3位以上を守っていることから、極めて人気が高いプログラミング言語といえます。
Pythonがなぜこのように高い人気を集めているのか以下で解説します。
初心者でも習得しやすい
Pythonは、初めてプログラミング言語を学習する人にとって、習得のハードルが低い言語のひとつだと言われています。
Pythonは、日本・海外を問わず30年以上にも渡って使用されてきた実績を持つプログラミング言語です。そのような需要の高さから、日本語で書かれたPythonに関する教材や参考書などの文献が大変充実しています。このように習得しやすい環境が整っていることが、Pythonが初心者におすすめされる大きな理由のひとつです。
他にも、Pythonの特徴である「シンプルな文法」や「多様なフレームワーク」が、プログラミング学習を開始して日の浅い人にとっては難関となる「コーディングのルール」を分かりやすくしてくれるため、初心者にとって大きな魅力であるといえます。
文法がシンプルでコーディングしやすい
前述のようにPythonは、シンプルで可読性の高い文法構造により、比較的読みやすいプログラミング言語であるといわれています。コードが読みやすいことによる一番のメリットは、開発したアプリに不具合が発生した場合、エラーを発見することが容易である点です。そのため、コードの読み返しでも苦労する可能性の高いプログラミング言語学習の初心者は、Pythonから学習をスタートするのが効果的であるといえます。
他にも、シンプルな文法構造のメリットは、自分が書いたコードの見直しが簡単なだけでなく、人の書いたコードも読みやすいことでもあります。複数人で開発を行ったり他人にコードを見せたりする機会の多い、上級エンジニアからもPythonが重宝される理由となっています。
また、Pythonの文法は厳格に設計されているため、少しでも規則から外れたコードを書くとエラーが発生します。従って、誰が制作しても同じような内容になるため、Pythonは読みやすい文法構造だといわれています。
多種多様なフレームワークがある
Pythonには、開発するジャンルによく使用されるコードがライブラリにまとめられた「フレームワーク」が充実しています。
「フレームワーク」とは、開発をする時に使用頻度の高いコードや、機能をパッケージして「ライブラリ」としてまとめてくれるソフトを指します。
そのため、フレームワークがあれば、基本的なコードを打ち込む必要がなくなるため時間の短縮になるほか、ニッチな開発の場合詳細を理解していなくても開発することができるなどのメリットがあります。
例えば、「ECサイト」を開発するときに、検索窓のライブラリがフレームワークに収納されていれば、その部分のコードは自分で記述する必要がなくなります。
前述のように、Pythonは長い歴史を持ち、様々な用途で使用され続けたため、他のプログラムミング言語と比較して多くのフレームワークが開発されています。また、開発するジャンルに特化したフレームワークが存在しているため、初心者でも抵抗感なく開発を行うことができます。
関連記事:アプリ開発のアイデア出しで利用できるフレームワークや注意点など
OSを問わず開発環境を導入できる
Pyhonは人気の高く、多くの分野に利用されてきたプログラム言語であるため、様々なOS向けのアプリケーションやソフトウェアの開発に使用できるなど使用用途の幅が広いというメリットがあります。
他にも、「Anoconda」や「miniconda」のように、フレームワークを搭載した開発環境もあり、目的に特化した開発環境を整えやすい点もポイントです。
需要が高く市場で活かしやすい
Pythonはフレームワークやプラグインが豊富なため、大きいシステムの開発から個人のアプリ開発まで、幅広い分野で用いられているプログラミング言語です。
他にも、Pythonは、C言語やJavaなどの、他のプログラミング言語で開発されたアプリやシステムに対応しやすく、利便性の高い言語だと考えられています。そのためPythonで開発されたアプリは需要が高く、他の言語で書かれた成果物より、市場で大きな競争力を持つことができます。
また、パソコン用のアプリは、利用者の中の有志が新しい機能や不具合を修正するためのアップデートやパッチを制作してくれる文化や風潮があり、自社開発物の品質向上を手助けしてくれる場合があります。
その際に、Pythonを初めとして一般に普及しているプログラミング言語でアプリを開発した方が、外部のプログラマーがパッチを制作しやすくなるため、一般的な開発にはPythonがおすすめです。
Pythonで開発できるアプリ
Pythonで開発することのできるアプリの特徴を解説します。
スマホアプリ・デスクトップアプリ
アプリにはAndroidやiOSなどのスマートフォン向けに開発された「スマホアプリ」と、WindowsやMacOSなどのパソコン向けに開発された「デスクトップアプリ」が存在します。
Pythonでは、スマホアプリとデスクトップアプリ、どちらの開発も行うことができますが、フレームワークやライブラリの充実度からスマホアプリの開発を得意とするプログラミング言語だと言えます。
ただし、Pythonは実行速度が遅いため、ハイスピードで画面を動かす必要のあるゲームは苦手な傾向があります。
また、パソコン向けのデスクトップアプリに関しても、JavaやC#などの開発が一般的なため、Pythonが用いられるケースは少ないといえます。
Webアプリ
Pythonが得意とする開発に「Webアプリ」が挙げられます。
Webサイトのように、ブラウザからアクセスして使用できるアプリを指します。
例えば、動画共有サイトやSNS、ECサイトなどが該当します。
また、Webアプリと通常のアプリの違いとして、データがユーザーのデバイス(フロントエンド)ではなく、アクセス先のサーバーに保存されていること(バックエンド)が挙げられます。
そのため、ある程度のアプリ内容の変更などは、ユーザー側のアップデートをせずに行える点が大きな特徴といえます。
Pythonを使ったアプリ開発の手順
次にPythonを使用してアプリ開発を行う場合の手順について解説します。
やりたいことを明確にする
アプリ開発は、使用するプログラミング言語の選択や機材を用意するなどの技術的な準備をする前に、どのようなアプリを製作したいかを具体的に考案する必要があります。
「ECサイト」や「情報サイト」など、WEBサイトを表示するための簡単な構造を持つWEBアプリか、ゲームアプリや通信アプリなど、複雑な構造を持ったアプリを製作するのかによって、難易度や使用するPythonのフレームワークも大きく変化します。
また複数人で開発を行う場合、あまり漠然としたイメージでアプリを開発し始めると、それぞれが考えるアプリのイメージが異なってしまいトラブルの原因となるので注意が必要です。
開発環境を構築する
作りたいアプリのイメージが固まったら、そのアプリの開発に必要な開発環境を整えてください。
デバイス
Pythonをコーディングするのに使用するデバイスを用意しましょう。
デバイスには、エディターを導入することが可能であるパソコンやスマートフォン、タブレットなど多くの端末が該当しますが、アプリ開発にやりやすいと考えられているデバイスはパソコンです。理由としては、エディターで文章を打ち込むスピードがキーボードのついているパソコンの方が速いからです。
ただし、簡易的なアプリであればスマホやタブレットでコーディングを行うのもよいかもしれません。
また、開発するアプリによっても使用するパソコンのOSを変えた方がいい場合もあります。
例えば、iPhoneやiPadに使用されているOS「iOS」のアプリを開発する場合は、MacbookやiMACなどのApple社が製造しているパソコンを使用することをおすすめします。
理由としては、iOSアプリの完成後にテストを行うプロセスがあり、その時にiPhoneやiPadを使用する必要があるからです。その点からiOSにアプリを移しやすいMacOSを使用するのをおすすめします。
ツール
上述のエディターやフレームワークなどのソフトウェアを導入します。代表的な統合開発環境には以下のような物が挙げられます。
- Visual Studio Code
Microsoftが提供している「Visual Studio Code」は、Pythonも含めた多くのプログラム言語に対応した統合開発環境です。
Visual Studio CodeはMicrosoftの総合ソフトOfficeに梱包されていることと、Xamarinと言われる開発環境が買収されたことにより統合されました。
他にもメリットとして、動作の軽さや、豊富な拡張機能、統合ターミナルなどが挙げられます。
また、Microsoftが提供しているためアップデートも充実しています。 - Eclipse
EclipseはJava制作用の統合開発環境です。
統合開発環境とは、エディタ、デバッグ、コンパイル機能などがセットになった便利なツールです。Eclipseは拡張機能が高い統合開発環境で、プラグインをインストールすることでPythonを始めとしたさまざまな言語を導入することができます。 - PyCharm
PyCharmとは、Pythonに特化した統合開発環境です。後述するフレームワークに対応できることが大きなメリットとなっています。
また、WEBフレームワークにも対応している点も特徴です。
Pythonの基本を学ぶ
開発するアプリによっては、あまりPythonに精通していなくても制作自体は可能ですが、Pythonやプログラミングの基礎、概念を全く知らない状態でのアプリ開発は困難ですので、ある程度勉強してから開発に取り組みましょう。
フレームワークを駆使して開発を進める
開発するアプリに対応したPythonフレームワークを利用することで、開発が進めやすくなります。
アプリを公開する
完成したアプリを配布したい場合、OSによって配布手順が異なります。
iOSアプリ
iOSアプリを配信する場合、Apple提供のプラットフォームである「App Store」から配信する必要があります。まず「App Store」から配信する場合は、「Apple ID」のアカウントを作成する必要があります。
「App Store」から配信する場合はアプリの審査があるので、1週間程度、待たされる場合もあるほか、アプリの配信には1年99ドルの料金が発生します。
また、アップデートの内容にも審査が発生する場合があります。他にも、「App Store」はアプリの公開審査が厳しいことも覚えておきましょう。
Androidアプリ
Androidでアプリをリリースする場合は、プラットフォームを通す場合と、自分で配信を行う場合の2パターンあります。
プラットフォームを通す場合は、Googleが提供している「Google Play」で配信することが一般的です。
Google Playも他のプラットフォームと同様に、アプリの審査がありますが、厳しく見られないことで知られています。
アプリ公開の金額は1つあたり25ドルです。
アプリを自分で配信する場合は、WindowsやMacOSと同様に、Androidアプリをインストールする前の「APKファイル」方式で、画像ファイルやMP3データの様に、メールやSNSに添付して送ることが可能です。
ただし、Androidの開発元であるGoogleは、セキュリティの観点からGoogle Playを通さずにアプリをインストールすることには非推奨の立場を取っている上、「apkファイル」のインストールも一般的ではないため、自分で配布してもGoogle Playを経由するより利用率が低い場合があります。
Windows用のアプリ
Windows向けのアプリは、OS元のプラットフォームである「MIcrosoft Store」もありますが、自分のサイトやSNSで配信するのが主流なため、「Android」のPlay Storeとは異なり、独自にアプリを配信しても利用率が下がることは少ないです。
ただし、Windowsのファイルは、公式のプラットフォームの利用率が低い分ウイルスに感染したアプリが多いとされており、クレジットカードの情報を初めとして決済手段が必要なアプリは、大手のプラットフォームを経由してアプリを配信することが多い傾向にあります。
Pythonでアプリ開発する際のおすすめフレームワーク
Pythonには、多種多様なフレームワークが存在しますが、一般的によく使用される物を紹介します。
Django
「Django」は、Pythonで使用されるWebフレームワークのひとつです。
Webフレームワークとは、Webアプリ向けのライブラリを備えたフレームワークのことです。
Djangoは、Webアプリ向けのライブラリを多く備えているフレームワークです。そのため複雑で難易度の高いWebアプリを開発する場合でも少ないコードで開発することが可能です。
具体的なライブラリとしては、「管理画面」「案内ページ」「認証システム」などがパッケージ化されているため、基本的な内容はコーディングする必要がありません。
他にも、セキュリティ面や拡張性の部分でも実績が高く、商業的なアプリ開発にも用いることが可能です。
Flask
「Flask」とは、小規模なWebアプリケーションの開発に適したWebフレームワークです。
「Flask」は、軽量なフレームワークなため、学習の難易度が低く、簡単なWebアプリケーションなら簡単に開発できることで知られています。
上述のDjangoとは、開発するアプリの機能性や重さで使い分けると合理的です。
Bottle
「Bottle」は、Flaskと同様に軽量なフレームワークとして知られています。
操作方法がシンプルなことが特徴で、Pythonの学習を始めたばかりの人におすすめのフレームワークです。
また、WSGI環境といわれるサーバーとのアクセス権を担保する機能を備えているので、練習でアプリを開発する際にも、ある程度の実用性の高いものを作ることができます。
Pythonで開発されたWebサイトの例
Pythonは様々な開発に用いられているプログラミング言語である点を説明しましたが、具体的にどのような開発に用いられているのか解説します。
写真共有用SNSとして有名なInstagramもPythonが用いられています。
Instagramのシステムは最初からPythonを利用していた訳ではありませんが、ユーザーが急上昇したことをキッカケに修正がしやすいPythonにプログラムを変更したそうです。
このようにInstagramは、Pythonによって素早く修正を行うことによって、ユーザーの信頼を得て現在の人気を手に入れました。
ちなみに、Instagramのおすすめ機能はPythonによるものです。
YouTube
世界的なシェアを拡大している動画共有サイト「YouTube」はサーバーの管理にPythonを利用しています。
例えば、動画の検索やアカウントの管理に用いられています。
Spotify
音楽のサブスクリプションサービス「Spotify」は、音楽データの解析や国別アクセス傾向などの統計データの計算にPythonを使用しています。
Dropbox
Dropboxは、データ共有に利用されるクラウドサービスです。
クラウドサービスは、情報のやりとりに掛かる時間がサービスの品質を決めるので、コードが短くて済むPythonでDropboxが開発されました。
また、DropboxにはPythonの開発者であるGuido van Rossum氏が所属していたことからも、現在のPythonの発展に関わる事業だったといえます。
Pythonを学習する方法
Pythonの学習をする方法を紹介します。
記事の初めに触れた様に、Pythonは人気の高い言語のため、様々な媒体で学習をするための情報が豊富に取り扱われています。
自身のスキルや好みにあった勉強方法を見つけてください。
書籍
書籍でPythonを学習する場合、プログラミング言語自体の理解度によって書籍を選択する必要があります。
学習サイト
書籍と併せて、営利団体、ボランティア問わず、様々な団体からPyhon用の学習サイトが提供されています。
動画
動画共有サイトでは、Pythonの開発事例や学習方法などが、沢山投稿されているため、教材と併せて用いると効率的な学習が可能です。
アプリ開発ならPythonが便利
Pyhonはいろんなジャンルのアプリ開発が可能な利便性の高いアプリです。
また、Pythonは学習も始めやすく、初心者にとってもおすすめできるプログラミング言語です。
アプリ開発を考えている人は、Pythonの利用を検討してみてください。
アプリ開発に悩んだ際にはEMEAO!へのご相談を一度ご検討ください。
この記事を書いた人
編集部員 濵岸
編集部員の濵岸と申します。コンテンツ作成と取材を主に担当しております。身長が低いため学生時代は「お豆」と呼ばれていました!豆らしく、皆様の役に立つ記事を「マメに豆知識を!」の意識で作成します!どうぞよろしくお願いいたします!