ISO22000・HACCP・FSSC22000の4つの違い
公開日:2019.11.01 最終更新日:2021.08.10
製造業や飲食店の経営など、食品を扱う業種であれば、自社の衛生管理を証明する規格はぜひとも取得しておきたいものです。
しかし、食品衛生に関する規格にはISO22000とHACCP(ハサップ)、FSSC22000の三種類があることをご存じでしょうか?
そこで今回は、ISO22000、HACCP、FSSC22000の違いについて解説します。
食品を扱う業種の事業者様は、ぜひ最後まで読んで自社にとって最適な認証の取得を目指してください!
そもそもISO22000、HACCP、FSSC22000とは何?
ISO22000、HACCP、FSSC22000とはどんな規格なのでしょうか?それぞれの特徴を順番に見ていきましょう。
HACCP(ハサップ/危害要因分析必須管理点)とは?
HACCPとは、食品を製造する際の安全管理に関する手法のことです。
Hazard Analysis and Critical Control Point(危害要因分析必須管理点)の頭文字をとってこのように呼ばれています。
主に、食品の製造と出荷の段階で活躍する手法です。
具体的には、各原料の受入から食品の製造、および出荷にいたる工程で、微生物や遺物の混入がどの段階で考えられるか?ということを分析して、感染症や食中毒といった健康被害を未然に防ぐ役割があります。
HACCPについての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
ISO22000(食品安全マネジメントシステム)とは?
ISO22000とは、『食品安全マネジメントシステム-フードチェーンに関わる組織に対する要求事項』に関する国際標準規格のことです。
消費者へ安全な食品を届けることを目的としています。
食品の製造業のみならず、原料を扱う農業や漁業、また消費者へ食品を届けるスーパーマーケットなどの小売業も対象に含まれています。
前述のHACCPの内容に加え、品質管理と環境管理の要素も含まれているという特徴があります。
ISO22000についての詳しい解説は、こちらの記事をご参照ください。
FSSC22000(食品安全システム認証)とは?
FSSC22000とは、ISO 22000の規格をベースとして、よりレベルの高い食品管理を求めている規格です。
FSSCは、Food Safety System Certification (食品安全システム認証)の頭文字をとった略称です。
ISO22000よりも厳密に前提条件プログラムを設定しており、アレルゲンの管理や製品情報のラベルの内容など、細かな内容が要求されています。
より食品の流通が多く、規模の大きい企業での運用が想定されている規格です。
FSSC22000をもっと詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご確認ください。
ISO22000、HACCP、FSSC22000の違いはどこにあるの?
以上、HACCPとISO22000、FSSC22000について、それぞれご紹介しました。
では、上記3つの規格の違いはどこにあるのでしょうか?
大きな違いとしては、以下の4点があげられます。
- 誕生の目的や経緯
- 前提条件プログラム
- ハザード管理に関する規定
- 適用範囲
違い①誕生の目的や経緯
HACCPとISO22000とFSSC22000では、誕生の目的や経緯が異なります。
この3つの規格は、①HACCP②ISO22000③FSSC22000の順で画一化されました。
最初に食品の衛生管理の規格として誕生したHACCPは、食品製造や加工の工程にて、どのような危害が発生するかを分析し、工程のどの段階にて対策を練ればいいかなどについて記載さた食品安全のガイドラインです。
しかし、HACCPのガイドラインの基準は国や認証団体によって異なり、業界・業種などによって異なる管理方法にも対応しきれていませんでした。
そこで国や認証団体によって異なった基準を統一し、食品に関わるすべての業種に当てはまる国際規格として新たに誕生したのがISO22000です。
ところが、ISO22000においても、手洗いや消毒の方法など業者任せの部分があったため、大規模な食品汚染事故などが発生してしまいました。
二度とこのような事態を起こさないためにも、さらに厳密になった規格を作ろうということで制定されたものがFSSC22000です。
違い②前提条件プログラム
3つの規格の中では、FSSC22000の前提条件プログラムが最も厳格です。そのため、FSSC22000は最も画一化された食品衛生管理の国際規格といえます。
HASSPでは異なる業種や業界に対応しきれず誕生したISO22000ですが、今度は条件が緩く取得企業・団体による大規模な食品汚染事故が発生してしまったため、その解決策として生まれたのがFSSC22000です。
この経緯を考えてみると、前提条件の厳格さがそれぞれ異なるのは当然のことだということが分かるでしょう。
違い③ハザード管理に関する規定
科学的根拠に基づいて、食品を取り扱う各工程の中で発生しうる危険因子を事前に予測し、徹底的に管理することを“ハザード管理”といいます。
重点的な管理においては、三者とも著しく危害が発生する可能性があるポイントのみ管理しています。
ここで異なるのは、HACCPはハザード管理における項目が規定されておらず、ISO22000と FSSC22000では明確に規定されているという点です。
HACCPでは、一般的な衛生管理のプログラムと各工程における危険因子の管理が行われますが、項目についての決まりは特にありません。
対して、ISO22000とFSSC22000では日常的な衛生管理においては明確な項目が規定されており、さらにモニタリングが必須となる中間管理というものが存在します。
違い④適用範囲
業界団体によるHACCP認証の適用範囲はその業界・業種に限られますが、ISO22000とFSSC22000は幅広い業界・業種に適用されます。
ISO22000とFSSC22000が適用される業界・業種の例としては、畜産・水産(動物生産)、農業(植物生産)、食品製造、動物の飼料製造、ケータリング、流通、輸送及び保管サービスの提供、サービス、食品包装及び包装資材の製造、装置の製造、化学製品の製造などがあげられます。
食品の衛生管理は食品の製造業者に一任されるものではありません。
管理・輸送・包装資材の製造など食品に関わるあらゆる業者にその責任が課せられているとISO22000とFSSC22000では考えられているのです。
HACCP、FSSC 22000、ISO 22000の順に新しく、より厳格になる
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことでISO22000、HACCP、FSSC22000の違いがご理解いただけたと思います。
おおまかにいうと、HACCP、FSSC 22000、ISO 22000の順に誕生し、新しい規格ほど規定が厳しく、より幅広い業界・業種に適用されるという違いがあります。
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この記事を書いた人
編集部員 M・S
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